プロフェッショナルデンティストリー STEP4
7/8

不正咬合の成因には大きく分けて骨格性と歯性があり、そのうち骨格性の不調和は咬合に大きく影響する。そのため骨格の不調和がもたらす不正咬合の特徴を把握することは、一般歯科臨床においても診断や治療方針を検討する上で重要である。 ここでは、前後的な骨格的不調和Skeletal 1、2、3を基準に垂直的な不正が合併した9つのFacial typeに分け(Fig.3-28)、各々の症状と矯正治療の概要を解説する。補綴治療を行う上で、あらゆる不正咬合に対して矯正治療を取り入れた場合の術後イメージとして参考にしていただきたい。 垂直的なFacial typeの分類(フェイシャルパターン)では、下顎角の形態においてNormalなタイプをAverage face type(メジオフェイシャルパターン)、High angleを示すタイプをLong face type(ドリコフェイシャルパターン)、Low angleを示すタイプをShort face type(ブレーキーフェイシャルパターン)として表現する。1Skeletal 1における垂直的不調和の症状と治療 Skeletal 1は骨格的に前後的な不調和がないことを示すが、下顎角形態の開閉度合いや、上顎骨の影響による下顎骨の回転などが要因となる過蓋咬合や開咬の垂直的不調和の症状がある。また、歯性(歯槽性)における歯列の突出や後退、対合関係の近遠心的偏位によるⅡ級やⅢ級を呈する不正咬合も含まれる(Fig.3-29および162ページCase 1参照)。1)Skeletal 1 Short face typeの特徴と治療 Skeletal 1 Short face typeは、下顎角がLow angleの骨格形態で咬合力が比較的強く、過蓋咬合の不正が生じやすい(Fig.3-30)。 治療では、臼歯部の整列によるポステリアサポートの確立と前歯部の圧下を行い、上下顎歯列の咬合平面を整える。その上で、前歯部のポジションを適正な被蓋と審美的な位置に修正する治療計画を立案する。2)Skeletal 1 Average face typeの特徴と治療 Skeletal 1 Average face typeは、上下顎骨の前後的、垂直的ともにバランスがとれた骨格形態を呈しているが、歯列にかかわる歯性の要因に問題があるタイプである(Fig.3-31)。 治療では、上下顎前歯部のポジションと歯軸傾斜を可能なかぎり標準Fig.3-28 9つのFacial typeFig.3-29 Skeletal 1Skeletal 2Low angleSkeletal 1Low angleSkeletal 3Low angleSkeletal 2NormalSkeletal 1NormalSkeletal 3NormalSkeletal 2High angleSkeletal 1High angleSkeletal 3High angleSkeletal 2Low angleSkeletal 1Low angleSkeletal 3Low angleSkeletal 2NormalSkeletal 1NormalSkeletal 3NormalSkeletal 2High angleSkeletal 1High angleSkeletal 3High angleSkeletal 2Low angleSkeletal 2NormalSkeletal 2High angleSkeletal 3Low angleSkeletal 3NormalSkeletal 3High angleChapter 3機能回復と矯正治療 ―包括治療における成人矯正治療―Chapter 3-4Facial type別・症状と治療160

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です