別冊 マイクロインデンティストリーYEARBOOK 2013
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52私「ちょっと見たところ,むし歯があるように見えなかったのですが,顕微鏡で拡大したらむし歯がありましたよ」.たしかに状況を正確に伝えてはいるのだが,患者は納得はしても,感動はしない.では次のように質問を加えながら説明したらどうであろう.私「この写真を見てください.右上の歯を外側から見ているのですが,むし歯があるように見えますか?」 患者「この茶色いところがむし歯だと思います」 私「そうですね,そう見えますよね,茶色いですからね.でも安心してください,茶色ところは色素が沈着しただけでむし歯ではないのです」 患者「そうなんですか.安心しました」 私「では次に顕微鏡で拡大したところをご覧ください.これならどうですか?」患者「ああっ,この穴が開いているところがむし歯でしょう」私「その通りです.これこそがむし歯なんです.顕微鏡で拡大して初めて見つかったんですよ」 患者「へぇー,普通は見えないむし歯が顕微鏡で見つかるんですねー」 このように説明のなかに質問を入れながら,こちらの意図するところに患者を誘導すると患者の心が動くのである.さらに,会話のなかにストーリーを患者の「心を動かす」提案:②資料を動かす図13 患者にとってエックス線写真はグレースケールの図にしか見えない.図14 写真を移動させたり拡大することで,素人である患者の理解を助けることができる.図15 イラストを手書きして説明すると患者の理解が深まる.図16 Note Anytimeは指でイラストを描いて,自在に拡大・縮小でき,さらに患者の心を動かすことができる.13141615患者の「心を動かす」提案:③言葉を動かす図17,18 歯肉縁下う蝕の症例.患者に単に状況を正確に伝えるだけでは,納得はしても感動はしない.そこに,質問を加えながらストーリーとして患者に伝えることで記憶に残りやすくなる.1817別冊the Quintessence 「マイクロデンティストリー YEARBOOK 2013」PART1 マイクロスコープup-to-date特集2

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