別冊 マイクロインデンティストリーYEARBOOK 2013
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41上顎洞粘膜へのアプローチ図12a 外科用超音波器具により上顎洞側壁を開削.図12b 注水下で上顎洞粘膜を挙上.マイクロクラックの発見図13a 上顎小臼歯頬側に生じたマイクロクラック.図13b 倍率を上げての観察(う蝕検知液 SableSeak®, UL-TRADENT JAPAN).日々さまざまなことに気付く.たとえば通常,あまり気にされないが,12番の替刃メスで粘膜を切開する時,完全に切開されていない部分が存在することが多くある(図10a,b).それは歯には膨隆部があり,また対合歯との開口制限があるからである.図10aでの状態でそのまま剥離すると,切開されていない部分は挫滅創になるので,それが原因で歯肉退縮を引き起こす可能性がある.また,気付いていなければ,当然のことながら縫合もされない.智歯の抜歯後,第二大臼歯遠心の歯肉退縮が起こりやすい原因の1つかもしれない.もちろん,これは非常に細かいことで,この部分だけを注意しても手術が成功するわけではない.抜歯に限らず,基本的な知識を理解し,基本的な手技を習得したうえで,なおかつこのようなことにも注意を払うべきだと考えている. 図11a,bは,下顎大臼歯の抜歯時に,分割のために超音波チップを用い頬舌的・近遠心的にスリットを入れた状態である.とくに下顎智歯の分割抜歯では近心の歯冠の頬舌的な分割が完全にできていないことが臨床的には非常に多いが,顕微鏡下では出血をさせることなく,確実に歯根膜付近までのスリットを入れることができるので,分割抜歯などの際には非常に有益だと考えられる(図11a,bは別症例). 図12a,bは,神奈川県横須賀市で開業されている別冊the Quintessence 「マイクロデンティストリー YEARBOOK 2013」臨床・教育・研究のための静止画の役割

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