別冊 マイクロインデンティストリーYEARBOOK 2013
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10はじめに 現在,米国において,歯内療法専門医の顕微鏡普及率はほぼ100%だという.「顕微鏡は高価すぎて普及しないだろう」と言われていた1990年代初頭からは隔世の感がある.顕微鏡を使用することで見えなかったものが見え(図1),結果,高度で精密な根管治療が可能になり,歯内療法専門医には必須なものになった.これは米国の歯科大学における歯内療法専門教育課程で顕微鏡の使用が義務づけられたことからも,歯内療法にとって顕微鏡の使用は「Standard of Care」になっているといえる. 一方,顕微鏡が普及しだしてから約10年後の2000年代初頭に登場した歯科用CBCTは,顕微鏡よりもはるかに高価ではあるが,その有用性は明らかであり,エックス線写真では発見できなかったものの多くが発見できるようになった(図2).近年の「Journal of Endodontics」誌でも歯内療法におけるCBCTの有用性についての論文が多数投稿されている.このことからも,将来歯内療法においてCBCTを使用することはStandard of Careになることは間違いない.また顕微鏡の時と同様に,米国の歯内療法専門医でのCBCT普及率が100%になる日もそう遠くはないのかもしれない. AAE(American Association of Endodontists)とAAOMR (American Academy of Oral and Maxillofacial Radiology)は2011年に共同声明を出していて,「CBCT撮影時の被曝量を考慮し,常に得られる情報がそのリスクを上回るときに使うべきである」としている1.しかし,CBCTは1回の撮影時の被曝量はデンタルエックス線写真の2枚撮影分とほぼ同等である.したがって1回CBCTを撮影すればさまざまな角度から治療する歯や歯周組織をエックス線診査することができるので,エックス線写真を複数回撮るよりもよほど効率的で安全であるといえる2. このように,CBCTから得られる情報と顕微鏡を通して見える実像を融合することで,正確な全体像が把握することができるようになる.そしてこれを基に顕微鏡下で実際の精密な処置が可能となる.以上のように,顕微鏡もCBCTも肉眼では見えにく別冊the Quintessence 「マイクロデンティストリー YEARBOOK 2013」Case ReportFuture Endodontic Treatment in Combination of a Dental Operative Microscope and CBCT顕微鏡とCTを融合したこれからのエンド処置寺内𠮷継神奈川県開業 インテリデント中央林間相模歯科/CT&米国式根管治療センター連絡先:〒242‐0007 神奈川県大和市中央林間3‐3‐1 Umi Square 3FYoshitsugu Terauchiキーワード:顕微鏡,CBCT,破折器具除去,ナビゲーションシステム歯科用CTと顕微鏡を用いた歯科治療特集1

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