必ず習得しておきたい歯科医院のための救命救急処置
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31Chapter1歯科医院で行う救命救急処置図21除細動とはa 心室細動(無脈性心室頻拍)b 電気ショックc 本来の刺激による正常な心収縮図1図1図1図1図1る)と心筋細胞がいっせいに収縮を起こす(図21b).その直後,心臓はいったん静止するが,洞結節などの本来の刺激発生部位から起こった電気刺激によって心臓全体がまとまった規則正しい収縮を取り戻し,血液を拍出し始める(図21c).これが除細動である. しかし,洞結節などから刺激が発生していなかったり,心筋細胞自体に収縮する余力が残っていなかったりする状態では,いくら電気ショックをしても再び心臓が動き始めることはない.表3除細動適応の心停止と適応ではない心停止心室細動Ventricular Fibrillation(VF)◦それぞれの心室筋細胞が,ばらばらに無秩序な収縮をしている状態.◦心室全体がまとまった収縮をしていないので血液は拍出されない.無脈性心室頻拍Pulseless Ventricular Tachycardia (Pulseless VT)◦心拍数が非常に多い心室頻拍では,心室内に十分な血液が溜まる前に収縮してしまいカラ打ち状態となる.◦心臓からは十分な血液が拍出されていない.心静止 Asystole◦心臓の電気活動が消失している状態.◦心電図波形は平坦である.◦心臓は止まっているので血液が拍出されない.無脈性電気活動 Pulseless Electrical Activity(PEA)◦何らかの心電図波形(VF・VT以外)は認められるが,心臓から血液が拍出されていない状態.◦心臓は止まっている場合もある.◦心臓は収縮していても,(急激な出血などで)血液の拍出がなければPEAとなる.心室細動や無脈性心室頻拍となっている心臓に電気ショックを行うことでいったん静止させ,その後,本来の刺激による正常な心収縮を取り戻させる.除細動の適応除細動の適応ではない

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