TMD YEARBOOK 2013 顎の痛みに対処する
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109スプリント療法のClassic Evidence別冊the Quintessence 「TMD YEAR BOOK 2013」00(⇒p115) Sears VH. Occlusal pivots. J Pros-thet Dent 1956;6:332‐338. ピボットスプリントの目的は,患側の最後臼歯のみを接触させ,健側で噛みしめることにより患側の下顎頭を下方に牽引することであり,これにより顎関節部軟組織を伸展させ,下顎頭の可動性を増すことによって開口量を増加させるとともに,顎関節への負荷を軽減させ疼痛の緩解を図ることであり,その治療対象は開口障害や顎関節部の疼痛を有する患者であった2(図2). 1966年には,Ramfjordら3によりスタビライゼーションスプリントが紹介された.このスプリントは片顎の全歯列咬合面を被覆し,対合歯列の機能咬頭のみを接触させるという咬合接触を付与したものであり,顎関節部や咀嚼筋の疼痛やその他の症状の消退を治療目的として使用された4,5(図3). 1972年には,Farrarによりリポジショニングスプリントが紹介された(01)6.01(⇒p115) Farrar WB. Differentiation of tem-poromandibular joint dysfunction to simplify treatment. J Prosthet Dent 1972;28(6):629‐636. このスプリントは,前方転位した関節円板を整位するためのスプリントとして,下顎頭と関節円板の位置関係が正常に復位する下顎位(治療顎位)に誘導するように製作されたもので,装着することにより,関節雑音の消失,開口障害や顎運動機能の改善およ図4a,b リポジショニングスプリント.円板整位後の治療顎位へ誘導するように製作される.a:習慣性閉口時.b:ガイドランプに誘導され,円板が整位された状態での咬合が確立される(図は,参考文献6より引用・改変).図3 スタビライゼーションスプリントと咬合接触点.対合機能咬頭の点状接触を確立する13(図は,参考文献13より引用・改変).ab

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