有病高齢者歯科治療のガイドライン 上
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第4章心筋梗塞患者の歯科治療5)心筋梗塞発作時の救急処置 もしも歯科治療中に心筋梗塞が起こったら,ただちに歯科治療を中断して救急処置を行う.①酸素吸入(約5L/分)を行い,心筋酸素供給量を増加させる.②スタッフに119番通報を要請する.③血圧低下があれば,ショック体位をとる(両下肢挙上).④意識がなければ,気道を確保して自発呼吸を確認する.⑤正常呼吸がなければ,胸骨圧迫と人工呼吸を開始する.⑥スタッフにAEDを要請し,準備ができたら電気的除細動を行う.⑦救急車が到着したら,病院に搬送する.6)実際の歯科治療方法 心筋梗塞患者に歯科治療を行う際には,下記のような注意が必要である.①当日は,抗狭心症薬や抗血栓薬をいつもどおり服用したことを確認する.②自動血圧計を使用して血圧,脈拍数,SpO2,できれば心電図をモニタする.③精神鎮静法やリラックス歯科を利用して精神的ストレスを軽減する.④局所麻酔注射を行うときは,表4-7を参考に歯科用局所麻酔薬の種類と投与量を決定する.⑤刺入時には表面麻酔を併用して穿刺痛を軽減し,局所麻酔薬はゆっくりかつ十分量を投与して確実に局所麻酔を効かせる.⑥歯科治療中は5~10分ごとに血圧,脈拍数,RPPを測定しながら,表4-8を参考に歯科治療の中断・継続を決定する.⑦抗血栓薬を服用している患者に観血的処置を行うときは,確実な止血処置を行う.⑧こうして「怖くない・痛くない」歯科治療を行う.心筋梗塞患者では,胸痛発作とPT-INRに注意しよう!ONEPOINTCORNER「心筋梗塞」胸痛いニトロがダメなら救急車[解 説] 胸痛発作が起きたとき,緊急薬のニトログリセリンスプレーを投与しても発作が治まらないときは心筋梗塞と判断して,ただちに救急車で病院に搬送する.「早く治らないかなあ」と思いながら,何回もニトログリセリンスプレーの投与を繰り返していると危険である.俳えで疾基句る覚患礎83
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