有病高齢者歯科治療のガイドライン 上
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第3章狭心症患者の歯科治療1)誘因による分類 狭心症は誘因の観点から労作狭心症,安静狭心症,労作兼安静狭心症に分けられる. 冠動脈が動脈硬化により狭窄した場合でも,安静時には心筋に必要な血液量はなんとか供給できている.しかし,運動(労作)などで心筋の酸素消費量が増加したときには,それに見合うだけの冠血流量を増加させることができなくなり,心筋が酸素不足に陥り,臨床的に胸痛が出現する.これを労作狭心症という(図3-4~3-6).労作狭心症は運動時だけではなく,怒り,不安,恐怖といった情動変化,精神活動によっても誘発される(図3-7).図3-4労作狭心症の発症メカニズム安静時(○)労作時(×)心筋の虚血状態心筋の酸素需要量が増加したとき,冠血流量を増やすことができない(心筋の需要をまかなうに十分な量の酸素が供給されないことへの警告サイン)(心筋の相対的酸素不足)胸 痛冠血流量の減少血管内腔の狭窄冠動脈硬化図3-5冠動脈の動脈硬化と狭心症発作冠動脈の動脈硬化正常中等度硬化高度硬化狭くなった内腔石灰化アテローム内膜中膜外膜狭心症発作右冠動脈狭くなった内腔冠動脈の内腔狭窄が著しくなると労作時に胸痛が出現するようになる左冠動脈 血管の内膜にコレステロールや老廃物が沈着し,血管の内腔がしだいに狭くなっていく病的変化を動脈硬化という.冠動脈の有意の狭窄とは血管の内腔狭窄が75%以上の場合をいうが,一般に内腔狭窄が90%以上において狭心症発作を起こすことが多いるとになる48

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