有病高齢者歯科治療のガイドライン 上
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第9章糖尿病患者の歯科治療糖尿病患者では,血糖値とHbA1cに注目しよう!ONEPOINTCORNER「糖尿病」血糖,血圧,狭心症感染予防も忘れずに[解 説] 糖尿病患者で気をつけることは,歯科治療中の低血糖発作と高血糖発作である.また動脈硬化により高血圧や虚血性心疾患を合併している可能性がある.さらに感染しやすいので抜歯後感染が起こるかもしれない.感染が起こると糖尿病が悪化するという悪循環に入り込んでしまう. 糖尿病患者が来院したら,この俳句を呪文のように唱えると注意事項が簡単に思い出せる.俳えで疾基句る覚患礎糖尿病患者の歯科治療に際しての注意点表9-10低血糖に対する注意予防・昼食前,夕食前のアポイントを避ける・当日は,食事の摂取を確認する・一度に広範囲の外科処置を行わない・術後疼痛に対して鎮痛薬を処方する処置・経口摂取が可能なら,砂糖やジュースを摂取させる・経口摂取が不能なら,50%ブドウ糖液を静注する高血糖に対する注意予防・血糖値のコントロール状態を確認する(HbA1c<7.4%,空腹時血糖値<140mg/dL,食後2時間値<200mg/dL)・当日は,インスリンの投与,経口糖尿病薬の服用を確認する・精神鎮静法やリラックス歯科により精神的ストレスを軽減する・確実に局所麻酔を効かせて,痛くない歯科治療を行う処置・糖尿病昏睡が起これば,救急車で病院に搬送する慢性合併症に対する注意・高血圧,狭心症,心筋梗塞,脳梗塞,慢性腎臓病の有無を確認する・合併疾患があれば,その疾患の重症度を評価して,リスク判定を行う・歯科治療中はモニタリング下に注意深い全身管理を行う・精神鎮静法やリラックス歯科により精神的ストレスを軽減する・確実に局所麻酔を効かせて,痛くない歯科治療を行う術後感染に対する注意・抜歯後は創面縫合,抗菌薬,術後洗浄を繰り返して予後観察を行う・必要に応じて抗菌薬を増量するなど感染予防に注意する・広範囲の感染,炎症症状などが出現すれば内科医に相談する治療内容に対する注意・予後不良となる可能性の高い歯は抜去も考慮する・歯頸部う蝕を予防するために徹底した清掃指導を行う・二次う蝕の起こりにくい修復処置を行う・歯槽骨の吸収が速い場合は,金属床の製作に注意する202

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