別冊 臨床家のための矯正YEAR BOOK2013
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033臨床家のための矯正YEAR BOOK 2013はじめに 歯科矯正用アンカースクリューを唇頬側歯槽骨や口蓋に設置することにより,絶対不動の固定源が得られ,患者の協力性に頼ることなく,良好な治療結果を容易に得ることが可能となった.アンカースクリューは歯根間歯槽部に埋入できるほどの小型の純チタン製あるいはチタン合金製のネジで,その埋入手技は簡易で,外科的侵襲もきわめて小さいため,患者の負担は最小限であり,われわれ術者にとっても応用は容易である. 純チタン製のアンカースクリューは主にセルフタップ法,すなわち埋入に先立ちパイロットホールを形成する方法が用いられ,チタン合金製のアンカースクリューは主にセルフドリル法,すなわちパイロットホールを形成することなく,直接骨内に埋入する方法が用いられている.ISAシステムには両方のタイプが用意されており,前者はISA Pro(図1a,薬事法承認済)で,後者はISA Advance(図1b,薬事法承認済)である.それぞれについて利点・図1 ISAシステム.a:ISA Pro,b:ISA Advance.図2 ペリオプローブなどを用いて埋入位置を確認する(文献1より引用).図3 生理的食塩水の注水下でパイロットホールを形成する(文献1より引用).ISAシステムの臨床レポート本吉 満Clinical Case Report Using ISA systemMitsuru MotoyoshiDepartment of Orthodontics, Nihon University School of Dentistryaddress:1-8-13, Kanda-Surugadai, Chiyoda-ku, Tokyo 101-8310日本大学歯学部 歯科矯正学講座連絡先:〒101‐8310 東京都千代田区神田駿河台1‐8‐13欠点があるので,適応症例や埋入設備の条件などによって適宜選択が可能である.イミディエート・サージカル・アンカーISA Proの埋入手技 臼歯部頬側歯槽部への埋入を例に挙げる.まず,コンクールなどで術野を消毒した後,キシロカインなどを用いて浸潤麻酔を行う.次に図2に示すように,ペリオプローブを用いて埋入位置を印記する.続いて図3のようにドリリングを行う.ドリルの回転数は低回転(500~800rpm)とし,生理的食塩水の注水により局所を冷却しながらパイロットホールを形成する.アンカースクリューの埋入適正トルクは5~10Ncmであり,この範囲内で埋入することにより成功率を飛躍的に向上することができる2,3.5~10Ncmの範囲内にて埋入するために,ISA Pro専用の骨ドリルが用意されている(図4).上顎歯槽部では1.0~1.3mmステップドリルを用い,通常は先端の直径1.0mm部分を用いてドリリングし,皮質骨が硬いときには,ドリルの根元の直径1.3mmの部分までドリルすることにより,適正トルクで埋入することab

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