プロフェッショナル デンティストリー STEP1
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Fig.5-4 パノラマエックス線写真のチェックポイント 2.下顎頭の状態aaFig.5-4a 26歳・女性。左右下顎頭の形態に軽度な変形を認めるが、左右対称で下顎頭の高さとともに大きな問題はない。問診と診査により顎関節症状は現症・既往ともになく、咬合平面の傾きも認められない。パノラマエックス線写真にて、形態の変形や高さに大きな左右差がある場合は、問診で顎関節症状の有無をその既往も含めて聴取しておきたい。また、口腔内にて犬歯ガイドや開閉口時の下顎の偏位の有無なども診査し、資料採得した口腔内写真でも確認することが重要である。咬合平面の傾きをみるには、わずかな開口位の口腔内写真とともに確認することが有効である。2下顎頭の状態 顎関節は、左右一対で運動する関節である。その下顎頭の形態や高さに左右で大きな違いがあると、開口障害、疼痛やクリック音などの顎関節症状が現症として出ていることが多い。問診では、その既往も含めて聴取を行いたい(Fig.5-4)。 下顎頭の高さに左右差がある場合は、下顎頭の低いほうに咬合平面が傾いている。咬合平面は補綴治療を行う際の基準となるものの1つであり、審美的にも機能的にも重要となってくるので、咬合平面の傾きには注意を要する。さらに下顎頭にこういった問題があると、スムースな顎運動を行えない場合が多い。よって資料として採得した口腔内写真より、歯列の形態、犬歯ガイドの有無や咬合平面の傾きなどをよく診査することが必要である。パノラマエックス線写真とわずかな開口位の口腔内写真はほぼ同じような状態にあるので、両方をよく比較しながら診査したい。 また、下顎頭の高さに左右差があると下顎に偏位がある場合が多いので、開閉口時の下顎の偏位や顔貌の正貌写真でのオトガイ部の位置のチェックも必要である。正面セファロエックス線写真による、顎骨の左右の対称性の確認も有効である(確認方法は158ページ参照)。 なお、 たとえ顎関節の症状がなくても下顎頭の変形や高さに左右差が大きくある場合は、補綴処置を行う際に、プロビジョナルレストレーションを装着して顎位の安定を図るなどの注意を払う必要がある。下顎頭の状態チェックポイント1)変形の有無:左右対称性の有無2)左右の下顎頭の高さの違い:咬合平面の傾き、下顎の偏位の有無Chapter 5診査・診断に活かすパノラマエックス線写真と口腔内写真の読み込みかた106

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