日本の新分類にも対応! 「歯周病の新分類」読本
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辻 翔太/鶴田温美/橋爪弥生/辻 香織 ステップ1では,まず,健康な歯周組織あるいは歯肉炎であるのか,またはそれ以外なのかを診断する.歯周炎の診断と比較すると,これらの診断は比較的容易であるため,まずは“健康な歯周組織”あるいは“歯肉炎でないか”の確認を行う. 新分類を使用するにあたり,まず患者から診療データを採取する必要がある.採取しなければいけない項目は,図2-1-1のとおりである.日常臨床においては,すべての項目を採取できない場合もあるため,必ずしもすべての項目の資料が必要というわけではない.しかし,情報量が少ないと診断が不使い方ガイド正確になる可能性もあるため,可能な限り多くの資料を採取すべきだろう. まずは,図2-1-1の項目の資料採取を行うことで,本稿で紹介する新分類の診断のディシジョンツリーに当てはめることができる(ただし,これはあくまで新分類の診断を行うために必要な項目で実際に必要なすべての検査項目ではないことをお断りしておく). 新分類では,ステージとグレードの分類をする前に,まず,1)健康な歯周組織,2)歯肉炎,3)それ以外に分類する必要がある.診断を行っていくうえで5つのステップがあることは第1章(7ページ〜)でも述べたが,本稿ではその1つ目のステップ“歯肉炎が疑われる患者を抽出する”ということに着目する.日本の新分類にも対応! 「歯周病の新分類」読本16●「デンタルエックス線写真で骨吸収が認められる」「歯間部のCAlossが認められる」「口腔内に歯肉退縮または4mm以上のPPDが認められる」,いずれかが当てはまる場合は歯周炎を疑いステップ2へ進む●「デンタルエックス線写真で骨吸収が認められない」「歯間部のCAlossが認められない」「口腔内に歯肉退縮または4mm以上のPPDが認められない」,これらの条件が揃えば健康な歯周組織か歯肉炎かの選択肢となる.●BOP10%未満なら健康な歯周組織,10%以上なら歯肉炎と診断できる.さらに,BOPスコアが10~30%なら限局型歯肉炎,>30%なら広汎型歯肉炎となる.ステップ1の概要1.患者の資料採取と検査項目2.健康な歯周組織と歯肉炎2-1ステップ1 “健康な歯周組織”と“歯肉炎”および“それ以外”を正しく分けよう!

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