歯科矯正学における3D診断および治療計画
8/8

図8.21 拡大後の口腔内写真。図8.22 咬合面の拡大前と拡大後の写真の比較(a、b)および患者へのフェイスマスクの装着(c)。発的な舌側傾斜(5.4°)の達成による骨格性顎間関係の改善が得られていた。この上顎切歯の舌側傾斜は、上顎歯槽基底部の側方拡大と上顎歯列弓が前方移動したことによる上唇圧の増加に起因すると思われる。さらに、SKAR Ⅲ後の顔貌所見では、スマイル時の歯列の露出量が増えて、際立っていたバッカルコリドーがなくなり(図8.24)、スマイル時に上顎前歯部の近遠心的幅径が増加していることが認められた。また、骨格性の顎間関係も著しく改善されていた。咬合を完成させるために(図8.25、8.26)、上顎左側の第一小臼歯から第一大臼歯を網羅する領域にF22アライナーと部分的な舌側矯正装置を使用する第2期治療を計画した(Sweden & Martina社,イタリア、パドバ ドゥエ・カッラーレ)。 このハイブリッドアプローチ(固定装置と可撤性装置の併用)は、快適で審美的な矯正歯科治療を求める患者の要望を満たす33と同時に、治療の予知性を高めるために選択した。実際、歯列矯正による歯の移動を分析したところ、上顎左側の第二小臼歯がおよそ29°捻転していることが判明し、必要とされる移動方向と程度、そして小臼歯の円錐状の歯冠形態を考えると、アライナー単独の矯正歯科治療では予知性が低い歯の移動となっていたであろう34,35。1858 STLおよびDICOMデータのマッチングの可能性と適用性:MAPAシステムおよびF22アライナーによる実例

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る