5.2 インプラント周囲粘膜退縮の治療テクニック・ SCTGは形成されたトンネル内に設置し、単純縫合もしくはマットレス縫合でトンネリングフラップの内面に固定する。移植片は懸垂縫合によりインプラント表面に設置し、口腔内に縫合部が来るようにする(図16、17)。・ SCTGと軟組織退縮を完全に被覆するため、MCATの場合は懸垂縫合でフラップを歯冠側移動、また、LCTの場合は単結節縫合を用いて、トンネル形成したフラップを側方へ移動させ閉鎖する(図18~20)。 術後プロトコールには、2~3日間の抗炎症薬または鎮痛薬投与、ならびに任意だが抗生物質の全身投与が含まれる。感染管理は通常、術後最初の2~3週間に、0.2%、0.1%、または0.12%のジグルコン酸クロルヘキシジン溶液で1日2回、1分間の洗口を確実に行うようにする。図16 水平マットレス縫合でトンネル内のSCTGを近心および遠心に固定している状態。インプラント露出部分では移植片は懸垂縫合により縫合する。図19 歯冠側で縫合したトンネルはSCTGと粘膜退縮部分を被覆している。図17 インプラントの露出部分に固定したSCTG(図1の症例)。図20 縫合したトンネル(図1の症例)。Peri-Implant Soft-Tissue Integration and Management 口蓋部の縫合は手術後7~10日で抜糸し、粘膜退縮部位における縫合は2~3週間で抜糸を行う。抜糸後、手術部位の機械的清掃について患者に指導する。ウルトラソフトの手動歯ブラシでロールテクニックによる口腔清掃をしてもらい、術後1ヵ月で通常の口腔清掃に戻るようにする。専門家による天然歯の歯肉縁上クリーニングとインプラントクリーニング、ならびに、個別の口腔衛生指導を含む来院予約は、通常、術後1、3、6、および12ヵ月に行うようにする。臨床的結果は、通常6ヵ月と12ヵ月で評価する(図21と22)。図18 トンネル形成したフラップは、懸垂縫合により歯冠側に移動させる。SCTGが縫合針に接触しないように、SCTGと粘膜との間に骨膜エレベータを挿入している。図21 粘膜退縮を完全に被覆した(図1の症例)。図22 粘膜退縮を完全に解消した(図2の症例)。多くの付着角化粘膜が得られた。99
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