ITI Treatment Guide Vol12
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i図1i、j 4ヵ月の通常治癒の後に、軟組織の調整を開始した。最終目的は、辺縁部軟組織の形態をスキャロップ状として可能なかぎり天然歯の歯肉辺縁部形態に類似させ、プロビジョナルクラウンの隣接部形態を修正することで乳頭組織の歯冠側への成長を促すことであった。jlk図1k、l 最終上部構造装着1年後の正面観と咬合面観。頬側の軟組織退縮部位は良好かつ完全に被覆されている。軟組織量が頬舌側で増加したことで、隣在歯の自然なエマージェンスプロファイルに類似した形態を有するクラウンの製作が可能となり、衛生的観点からもその部位のメインテナンスが容易となった。82ITI Treatment Guide ・ Volume 12 この種の治療が成功するためには、少なくとも手術の1ヵ月前に補綴装置であるクラウンの除去をはじめとしたいくつかのステップが不可欠であると考えられる。隣接軟組織の成長と成熟が阻害されないようアバットメントを細くし、軟組織辺縁部と接触しない短いテンポラリークラウンを装着した。 すべての欠損は、歯肉弁歯冠側移動術(CAF)とCTGで治療する(Zucchelliら、2003)。フラップは部分層弁として挙上する。歯冠側へのフラップ伸展のために、筋付着はすべて取り除く。露出インプラント表面は、ダイヤモンドバーとラバーカップを使用して滑沢な面に仕上げる。歯冠側に移動した歯肉弁を縫合固定する結合組織床を形成するために、唇側と咬合面側に位置する歯間乳頭の上皮を取り除く。CTGは遊離歯肉移植片として口蓋から採取し、鋭利なメスで上皮を切除する(Zucchelliら、2010)。遊離歯肉移植片の厚さは約2mmで、退縮部分の幅より近遠心的に6mm大きく、骨裂開部の深さより3mm大きいサイズである。アバットメントを覆うように移植片を設置し、乳頭組織基部で2本の吸収性縫合糸を用いた単結節縫合と、根尖側方向で骨膜固定を行うための2本の単縫合を行う。 フラップは、軟組織辺縁部がCTGに対して歯冠側レベルで受動的に伸展できるようになるところまで引き寄せる。6-0Vicryl縫合糸を用い、テンションをかけずにフラップでCTGを被覆する。手術後は軟組織との接触を避けるためにプロビジョナルレストレーションを削合し、テンポラリーセメントで仮着を行う。抜糸は2週間後に行う。患者は治療部位への刺激を避け、0.12%クロルヘキシジン溶液での含嗽1分間を1日3回、4週間行うように指示する。5章 インプラント周囲軟組織退縮

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