被験者はどのくらいか比較対象が存在するかグループ分けがランダムにされているか盲検化はされているか73合にも効果があった点をふまえると、口腔衛生不良による口腔内細菌の直接的関与のほうが、要因として大きいと言えるでしょう。 また、この時点では嚥下などの口腔機能と肺炎との関係については今ほど重要視されておらず、さらに肺炎球菌ワクチンも使用されていなかった時代ということにも注意すべきでしょう。研究対象 米コネチカット州の介護老人施設36ヵ所に1ヵ月以上入居する65歳を超えた高齢者で、改善可能な肺炎のリスクファクター(口腔衛生不良または嚥下困難)のうち1つを有する者。短期滞在、経管栄養、気管瘻孔、余命3ヵ月以内、クロ発熱肺炎死亡実験群対照群3時間目 口腔×誤嚥性肺炎うち51名がドロップアウト発熱発症率、肺炎発症率、死亡率ともに口腔ケアを行ったグループ(実験群)で少なく、統計学的有意差が見られた。検査者のみの単純盲検Juthani-Mehta M, Ness PH, McGloin J, Argraes S, Chen S, Charpentier P, Miller L, Williams K, Wall D, Baker D, Tinetti M, Peduzzi P and Quagliarello VJ. A cluster-randomized controlled trial of a multicomponent intervention protocol for pneumonia prevention among nursing home elders. Clin Infect Dis 2015;60(6):849-857. PMID 2552033320100解説 本研究は、口腔ケアが介護老人施設入居者の誤嚥性肺炎の発症頻度を減少させることを、世界で初めて示したものです。特徴のひとつとして挙げられるのは、有歯者のみならず無歯顎の高齢者にも効果があったという点です。 口腔と誤嚥性肺炎の関連については、歯周炎により炎症性サイトカインなどのメディエーターが血流に入り、肺の炎症反応を刺激するという考えもありますが、無歯顎の場研究目的 介護老人施設入居者において、通常の口腔ケアを受けている場合と比較して、複数の介入がなされた場合に、肺炎の発症率を減少させられるかどうかを検証すること(肺炎については胸部エックス線写真上で追跡する)。今回の研究は……介護老人施設に入居する高齢者における、複合的介入プロトコールの肺炎予防効果に関するクラスターRCT417名YesYesYesPick up2図1 研究期間中の各イベントの発生率(%)30
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