Pick upで紹介!71 コクランのSR(Liuら2018)7)において、口腔ケアによる肺炎の発症抑制効果に関して4編のRCTが評価された結果、「口腔ケアを有効とする論文はバイアスのリスクが高く、その効果に関して、肺炎による死亡リスクは下げるかもしれないが、エビデンスレベルは低い」と評価されました。また、肺炎の発症に対する効果も結論が出ませんでした。今後、確定的な結論を得るには、より信頼性の高い研究が必要とされました。3時間目 口腔×誤嚥性肺炎2これまで、どのような研究結果をもとに誤嚥性肺炎と口腔ケアの関係の考え方が変化してきたか、年表でチェックしてみましょう。システマティックレビューにおいて口腔ケアによる誤嚥性肺炎の発症抑制効果についてエビデンスが高いと報告された エビデンスが蓄積し、「呼吸器疾患と口腔の健康」に関するシステマティックレビュー(以下SR)が発表されました(Scannapiecoら 20034)、AzarpazhoohとLeak 20065))。その結果、「口腔衛生の改善と専門家の頻繁な口腔ケアにより、介護老人施設に入居しているリスクの高い高齢者において、特にICUに入っている場合、肺炎の悪化や発症を抑制できることに良好なエビデンスがある」と結論付けられました。米国で行われた大規模なRCTにおいて口腔ケアの肺炎予防効果が証明できなかった 米コネチカット州の36ヵ所の介護老人施設で行われたRCT(Juthani-Mehtaら2015)6)において、専門家による口腔ケアが行われるも、肺炎や呼吸器感染の有意な予防効果が見られなかったことが報告されました。コクランによる最新SRにおいて、口腔ケアが肺炎を減少させることのエビデンスレベルは低いと評価された201020202003年2015年2018年~
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