69機能の向上)、③嚥下機能を向上させる(直接・間接的な摂食・嚥下機能訓練を通して)、④食後に上体を起こす(1時間以上)、⑤歌を歌う・おしゃべりを楽しむなどして心を前向きに保つことが求められます。 このほか、医療的・薬物的な予防方法として、サブスタンスP(脳内から出る嚥下反射を改善する物質)の分解を阻害するACE阻害薬や、嚥下機能を改善するシロスタゾールという薬があります。専門医との連携も重要です。国内患者数 誤嚥性肺炎を含む肺炎は日本人の死因の第3位を占め、特にお年寄りにとって致死率の非常に高い疾病となっています。 お年寄りに多い理由は、慢性的に誤嚥をしている、嚥下反射が低下しているだけでなく、誤嚥した後それを喀かく しゅつ出する咳反射の能力が低下しているためです。さらに、誤嚥性肺炎を起こすお年寄りの多くが口腔衛生状態が悪く、誤嚥したものに細菌が付着していることが多いというのも理由に挙げられます。また、抵抗力が低いことも影響しているでしょう。米山武義米山歯科クリニック [静岡県] 院長・歯科医師3時間目 口腔×誤嚥性肺炎症状 誤嚥性肺炎とは、口腔内の細菌等を含んだ唾液等が気管に入り、肺の深部まで侵入して炎症を起こした状態をいいます。胃液や胃の内容物が逆流(胃食道逆流現象)しても発症し、重症化すると死に至ることがあります。原因 誤嚥性肺炎の直接の原因は、細菌の繁殖が主です。鼻腔や口腔にはさまざまな細菌がいます。誤嚥性肺炎を発症した患者から検出された細菌を調べると、いちばん多いのがやはり肺炎球菌ですが、ほかにもさまざまな細菌が原因となっていることがわかっています。 発症の原因は、大きく分けて、食事中の誤嚥、胃の内容物等の誤嚥(メンデルソン症候群)、就寝中の誤嚥(不顕性誤嚥・静かな誤嚥)の3つが挙げられます。対応 対応として、第一には、誤嚥の回数を減らすために嚥下能力を鍛えること。第二には、誤嚥をしても肺炎にならないように、多職種と連携し、①口腔衛生状態を高いレベルで管理する、②口腔機能を向上させる(特に舌の歯周病などの疾患の影響よりも、口腔内細菌の直接的な影響が考えられる。介護者などによるブラッシングや、機能改善も含めた口腔ケアが介入の内容となる。主に高齢者が対象になるので、肺炎の発症のみならず死亡率も主評価項目とされる。誤嚥性肺炎の基礎知識3時間目口腔 誤嚥性肺炎
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