152時間目 プロービング検査は予後の大事な指標となる 歯周炎は慢性炎症をともなう進行性の疾患で、重度になると歯の機能不全などの問題が生じ、最終的には歯の喪失が起こります。また、口腔内の常在菌が関与するため、一度治癒し、SPTに移行した後も再発や進行が起こる可能性があります。このような場合、疾患の進行や安定化を予測できる精度の高い指標が必要となります。 たとえば、前述のように歯周病は細菌が関与するため、細菌の検査を行えばよさそうな気がします。また、歯肉溝滲出液や唾液、血液から何らかのバイオマーカーを測定すれば有効だという考えも、もっともらしく思えます。しかし、実際にわれわれが日常的に用いている指標は、プロービングポケットデプス(PPD)やプロービング時の出血(BOP)のような「プロービングから得られた検査結果」です。 プロービングは、歯科においてすでに100年以上行われており、歯周ポケットにプローブを挿入するという、ある意味とても原始的な検査方法です。最新の科学を駆使したバイオマーカーや最新鋭の画像診断などが医科の分野で導入されていることを考えると、歯周病の検査でいまだにプロービングをしているのは、何か時代遅れのような印象を受けます。 患者さんにとってもチクチクと痛みをともなう検査なので、できれば避けたいと考えるかもしれません。さらに、全顎プロービングにはそれなりの時間もかかります。はたしてプロービングから得られたデータにはどのような意義があり、どのようなエビデンスがあるのでしょうか。文献を紐解いていきたいと思います。時間目2プロービング検査は、原始的すぎる?予後の大事な指標となるプロービング検査は
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