種類分類タイプ製品名写真例特長課題る.また,必要に応じて,規則正しい睡眠習慣の維持,適正な睡眠時間の確保,睡眠環境の整備等の指導もMAD治療と並行して行う.さらに,肥満,飲酒,喫煙,睡眠に関連する薬の服用,加齢,運動不足等の生活習慣がその患者の病態に悪影響を及ぼしていると判断した場合,それらの改善を目指す生活習慣の是正を治療計画に追加する.とくに体重過多はSRBDにおける重大な危険因子であるため,減量やランニングやサイクリング等の有酸素運動が奨励される. 一方で,SRBDは年齢性別を問わず,合併症として高血圧や2型糖尿病を含むさまざまな病気を引き起こす可能性がある.また,不眠症やむずむず脚症候群(RLS;Restless Legs Syndrome)等の睡眠障害を併発することも多い.患者がそれらの症状に気がついていない,もしくは自覚症状はあるが医療機関で精査を受けておらず,歯科医師が睡眠歯科治療をするうえで,それらの検査,診断が必要と判断した場合は,MAD治療と並行して各症状に合わせた診療科へ対診をとり,精査および治療を依頼する.たとえば,患者が日中の眠気を強く訴えた場合,もしその患者がSRBD以外の睡眠障害を有していると,睡眠歯科治療をいくら行っても患者の主訴は改善されない.そのため,治療計画の立案時に,睡眠外来等の医療機関でのSRBD以外の睡眠障害の精査および治療を含む必要がある.ブラキシズムの有無,骨隆起の有無,口腔内スペース等を確認し,最適な口腔内装置(OA;Oral Appliance)を選択する.一般的に,SRBD治療のためのOAには,下顎を前突させた状態を終夜維持することで気道の狭窄を防ぐMADと,舌を前方位置に終夜保持することで舌の沈下を防ぐ舌牽引装置(Tongue Stabilizing Device)がある. MADのことをOAと呼ぶことも多いが,ここではOAをMADと舌牽引装置とに分けて解説していく.OAを選択する際は,図8-5を参考にするとよい1. OAのなかでもMADが適用と判断した場合,口腔内装置(OA)の種類とその特長と課題歯科医師のための睡眠時無呼吸治療116・上下顎の装置が強く固定されている・閉口を促し,鼻呼吸を促進できる・床用アクリリック樹脂や熱可塑性樹脂シートや常温重合レジンで製作されることが多い・側方への強い力により,上下結合部が破損する可能性がある・本固定後はMADの上下位置関係の調整に時間がかかる下顎前方牽引装置(MAD)上下一体型モノブロックハードタイプモノブロックソフトタイプーー・上下顎の装置が強く固定されている・閉口を促し,鼻呼吸を促進することができる・上下顎の装置がソフトタイプのため,歯への違和感が少ない・装置内面にプラーク等が沈着しやすい・内面の調整が困難・本固定後はMADの上下位置関係の調整が困難2)一般的な歯科治療の必要性(図8-3) MAD治療と,その他併用すべき治療法が決まったら,MAD治療を行ううえで決定すべき事項を検討する.まず,術前検査(第7章参照)のチェアサイドでの検査を基に,う蝕,動揺歯,欠損.不良補綴,歯周疾患,顎関節の痛み等のMAD治療を妨げる,もしくは悪影響を及ぼす要因があると判断した場合は,MAD製作前にそれらの治療を行う.3)口腔内装置の選択(図8-4,5) 次に,患者の残存歯数,動揺歯の有無,睡眠時
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