ひとつではない、噛める総義歯の姿
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124解説阿部二郎適正下顎位印象歯科技工による工夫人工歯配列・咬合様式・接触様式機能と審美図1 これまで、さまざまな義歯製作法が発表されてきたが、いわゆる「よい義歯」に共通するものは「適正な下顎位の設定」であった。1.機能回復・審美性獲得のカギは適正な下顎位 松丸論文でも述べられたように、義歯製作でもっともたいせつなことは適正な下顎位の設定と下顎義歯の安定の獲得であり、これが義歯製作の第1ステップである。したがって、この点を確実に押さえればある程度の患者満足度は達成できることになり、機能も審美もそこそこに兼ね備えた義歯が完成するといえる。 これまで、多くの歯科医師が「自分の義歯は最高だ!」と競い合い、さまざまな義歯製作方法が紹介された。本文中でも述べられた矢崎正方氏の咬座印象法や河邊清治氏の機能的咬座印象法、さらには櫻井唯次氏の無痛デンチャー、村岡 博氏のテンタティブデンチャーなどといった著名な術式が数多くあるが、これらは製作方法は違えど「適正な下顎位の設定」に関しては共通であり、それが良い義歯の最低条件であることがわかる。あとは、図1に示すように、印象採得や人工歯配列の第2、第3ステップをどのようなコンセプトのもとで実施するかということになる。 ここで改めて、5人の歯科技工士が製作した義歯を口腔内に装着した写真をごらんいただきたい(図2)。総括―本企画を振り返って―

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