マイクロデンティストリーYEARBOOK2023
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PART2PART3PART4PART1図5 Fluorescence aided root canal treatment(FARCT)の確立.図6 根管治療中の観察(通常モード).図7 根管治療中の観察(蛍光モード).根管治療における蛍光観察モジュール内蔵手術用顕微鏡を用いた光線力学的診断技術の確立別冊the Quintessence 「マイクロデンティストリー YEARBOOK 2023」23根管内の赤色蛍光領域(PpⅨ-FL)の確認PpⅨ-FLの発現に関連する因子の特定PpⅨ-FL残存領域と治療効果との関連性に関する評価 そこで,われわれは,蛍光ライブイメージングを応用した化学的ナビゲーションに基づく歯内療法を確立することを目的として,臨床研究を主体とした研究戦略を構築した(図5).今回は研究の第一段階として,根管治療時における蛍光領域の同定と,蛍光の発現に関連する因子を検証するための観察研究を実施した.本研究は日本歯科大学生命歯学部研究倫理委員会の承認(NDU-T2021-41)のもと実施した. その結果は,蛍光モードを使用することで根管内の汚染領域が赤色蛍光としてリアルタイムで可視化できることが示された(図6,7).とくに,イスマスやフィンなどの構造的に汚染部が残存しやすい部分において,顕著にPpⅨ集積領域が検出された(図8).そして,蛍光モードを併用した根管治療の成果として,化学的ナビゲーションによる補助によって,残存汚染領域の除去を適切に行えることが示された(図9).蛍光領域の発現に関連する因子を特定するため,2項ロジスティック回帰分析による多変量解析を実施した結果,再根管治療の症例とエックス線検査で2mm以上の明確な病変を有する症例においては,蛍光による汚染領域が観察される傾向が高いことが示唆された(図10). 以上の観察研究を応用した症例を,以下に供覧したい.根管治療における蛍光ライブイメージング2

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