別冊 マイクロデンティストリーYB2012
7/8

38はじめに 根管治療において根管を見つけられずに治療を終了しなければならない状況になると,歯科医師は後ろめたさや敗北感を感じることが多い.それは,感染源が存在するスペースを残すことが根尖病変の発症や再発につながることを知っているからである. ただし,果たして感染源が存在するスペースは見逃された根管だけであろうか.実は,それ以外にも感染源が残りやすく,かつ見逃された根管に勝るとも劣らないスペースがある.それはイスムスやフィンである1(図1).イスムスやフィン自体は狭窄して狭いスペースになっていたとしても,元来は歯冠の萌出後に象牙質が添加して狭窄したスペースなので,イスムスやフィンを形づくっている石灰化度の低い象牙質内にも感染が及んでいる可能性が高い.したがって,イスムス(図2,3)やフィン(図4)を気づかずに放置すると,見つけて拡大した根管以上のスペースを見逃しているおそれがある.マイクロスコープを使用しない場合の対処法 狭窄した根管に細いファイルが入ると,ファイルの操作は穿通を意識するため根管に対して上下方向の動きが多くなる.そして運よくファイルが根尖まで届くと,今度は根尖部の精密な拡大を意識して根管の狭窄により出現する解剖学的形態図1a,b 根管の狭窄により出現する解剖学的形態.a:イスムス,b:フィン.イスムスフィン横断面縦断面ba別冊the Quintessence 「マイクロデンティストリー YEAR BOOK 2012」キーワード:マイクロエンド,イスムス,フィンCase Reportマイクロエンドにおけるイスムス&フィンの攻略法木ノ本喜史大阪府開業 きのもと歯科連絡先:〒564‐0072 大阪府吹田市出口町28‐1 ラガール豊津1FThe Management of Isthmus and Fin under Dental Operating Microscope in EndodonticsYoshifumi Kinomoto歯内療法編2

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です