別冊 マイクロデンティストリーYB2012
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85ドがズレてサインを送ってくれる.これにより骨および骨膜に無用な侵襲を与えてしまうことを回避できる.切開を進めながら骨膜との距離を確認し,採取可能な結合組織の厚みを予測できる.・二次切開:上皮と結合組織を切離する(図3) 二次切開以降は「シャーポイントオムニトーム」を用いる.このメスの特徴としては,切れ味が鋭いことのほかに,ブレード部分がラウンド形態であるため粘膜弁作成時に穿孔しにくいこと,またブレードのネック部分を曲げることで,歯槽骨の豊隆部にもアクセスしやすいことなどが挙げられる.二次切開は上皮層を約1mm刺入し,一次切開部を同様にライニング,そこから深い部分へとメスを運ぶ.口蓋の形態や角度が途中で変わっている際には,パーフォレーションの予防と採取する結合組織を薄くしないためにメスの角度を適正に変える.・三次切開:結合組織を骨膜上から切離する ブレードから伝わるほんのわずかな感触を大切にし,骨膜上にメスを走らせる.日本人の平均的な口蓋の歯肉の厚みを考えると,十分な量の採取は困難を極めることに遭遇することもあるが,決して焦らず慎重にメスを運ぶ.・二次切開と三次切開をつなげる(図4) 盲目下での不用意なメスの操作は,血管網をズタ移植片の採取の手順図1 移植片の採取.❶一次切開.❷二次切開.❸三次切開.図2 一次切開.自分の指でみえないところ(ブラインド)をつくらないようなマイクロスコープの角度設定が必要になる.図3 二次切開.ブレードネック部までの距離を知り,切開の深度を設定する.図4 上顎7番部の近心部分までがアクセスの限界としなければいけない.❸❷❶インプラント周囲におけるプラスティックサージェリー別冊the Quintessence 「マイクロデンティストリー YEAR BOOK 2012」

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