別冊 マイクロデンティストリーYB2012
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84はじめに インプラント周囲には天然歯よりも十分な硬・軟組織が必要であることは周知の事柄である.インプラント周囲に十分な軟組織が確保されることによりプラットフォーム近辺の骨吸収のスピードを抑えられることがわかっている.そして,より厚みのある軟組織の存在は血流を良好にし,辺縁骨の安定に寄与すると考えられる.さらに,十分な量の付着歯肉はβ‐ディフェンシンの放出によって周囲の自浄作用も期待できると考えられている. 昨今,インプラントにおける軟組織の重要性が注目されている.十分な軟組織の確保のための手法として,結合組織移植術(CTG)や,プラットフォームシフティングに代表されるようなインプラント構造を工夫する方法などが考えられるが,本稿では前者について述べてみたい. 比較的条件のよい上顎前歯3歯連続欠損症例に対し,インプラント治療を施術した症例を提示し,インプラント周囲のプラスティックサージェリーおよび欠損部のオギュメンテーションの術式を解説する.そしてこれらの術式がマイクロスコープ下で行われることで,どのようなアドバンテージがあるかを紹介したい.結合組織採取の手順(図1) まず,シングルインシジョンテクニックについて解説する.この方法は新たなものではなく2000年よりその有効性が報告されている.その背景にはマイクロスコープを用いて拡大視野下での繊細な作業が可能になったことと,それを可能にする小ぶりで切れ味の良いインスツルメントが開発されたことが考えられる.・前準備 術前にワックスアップなどを用いて,必要な移植片の厚み・大きさを計測しておくことが大切である.・一次切開:口蓋表面に対し垂直に切開を入れる(図2) 切れ味の良い眼科用ブレードをブレードホルダーに装着し用いる.力がかかりすぎた場合は,ブレー別冊the Quintessence 「マイクロデンティストリー YEAR BOOK 2012」キーワード:プラスティックサージェリー,ペリオドンタル・マイクロサージェリー,結合組織移植Case Reportインインプラント周囲におけるプラント周囲におけるプラスティックサージェリー~マイクロスコープを用いた結合組織移植~松本邦夫東京都開業 松本歯科医院連絡先:〒158‐0097 東京都世田谷区用賀4‐4‐8Peri-implant Plastic Surgery ~Connective Tissue Graft Procedure under a Microscope~Kunio Matsumotoインプラント治療編2

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