別冊 マイクロデンティストリーYB2012
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16はじめに 歯根嚢胞治療は,病変の完全な摘出と原因歯に対する処置を確実に行うことが重要である1.歯根嚢胞に対する外科的治療は,嚢胞を完全摘出し手術創を閉鎖するPartschⅡ法が一般的であり,症例に応じて,嚢胞を開窓し口腔に副腔を形成して嚢胞上皮と口腔粘膜上皮の一体化を図るPartschⅠ法や,嚢胞の完全摘出後開放創とするPartschⅠ法の変法(packed open法)も選択される2.多くの場合,原因歯の処置として歯根尖切除術が併用される1. 群馬大学口腔外科では,3歯以上に及ぶ比較的大きな歯根嚢胞に対して,病変の完全な摘出とKimら3のendodontic microsurgery,すなわち顕微鏡視下歯根尖切除術を併用し良好な結果が得られているので,手術法について紹介するとともに,治療成績について考察した.歯根嚢胞摘出術および顕微鏡視下歯根尖切除術(endodontic microsurgery) 歯根嚢胞摘出は通法にて行うが,切開,歯根尖切除,逆根管充填,縫合等の手術過程のほとんどが,Kimら3,4の提唱するendodontic microsurgeryのコンセプトに準じて施行されている.病変が大きく手術時間が長時間に及ぶことが予想される場合や,臼歯部のendodontic microsurgeryを施行する際は,全身麻酔下で手術を行っており,顕微鏡は脳神経外科手術や血管吻合手術に使用されるオリンパスOME‐7000を使用している.この顕微鏡は双眼側視鏡仕様であるため,術者と同一視野でかつ適切なポジションでの手術助手が可能であり,また,モニターに接続されているため,医学生や研修医の教育にも有用である(図1). 切開線はVelvaer5のpapilla base incision,すなわち,歯間乳頭部を保存した歯肉溝切開の変法を用いている.切開は顕微鏡下にて眼科用0°メスで行う.このメスは大きさの面で顕微鏡拡大下でも操作性が良く,薄く,柔軟性に富み,かつ角度的にも歯別冊the Quintessence 「マイクロデンティストリー YEAR BOOK 2012」キーワード:endodontic microsurgery,歯根嚢胞,歯根尖切除術,MTACase Report顕微鏡視下歯根尖切除術~広範囲(3歯以上)に進展した歯根嚢胞への対応~須佐岳人/小川 将/横尾 聡群馬大学大学院医学系研究科顎口腔科学分野連絡先:〒371‐8511 群馬県前橋市昭和町3‐39‐22Endodontic Microsurgery for Extended Radicular CystTaketo Susa, Masaru Ogawa, Satoshi Yokoo特集2知っておきたい他科でのマイクロスコープ使用状況1

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