歯科インプラント治療のリスク度チェックとその対応
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13Chapter1 循環器疾患1 高血圧症と歯科インプラント治療リスクなし該当疾患項目をチェックリスクあり歯科インプラント治療禁忌初 診高血圧の既往を訴える加療中完治しているかかりつけ医と連携リスクなし内科受診を勧め他疾患の精査もお願いする指摘されるも加療の既往なし血圧測定他の全身疾患のチェック他疾患なし他疾患あり他疾患なし他疾患あり130/85未満130/85以上130/85以上130/85未満他の全身疾患のチェック手術中の血圧上昇,術中・術後出血が主たるリスクである.術前に収縮期血圧が169mmHgを超える場合には,手術中に収縮期血圧が200mmHg以上に達することが予想されるためリスク度は“重度”であり,手術は延期する.3)リスク度が高いケース 心血管病の危険因子として①年齢が65歳以上,②喫煙,③修復期/拡張期血圧レベル,④脂質異常症(低HDL-コレステロール,高LDL-コレステロール,高中性脂肪),⑤肥満(BMI≧25,とくに腹部肥満),⑥メタボリックシンドローム,⑦若年発症の心血管病の家族歴などがあり,糖尿病の存在はこれらと独立した心血管病の危険因子とされる.一方,臓器障害/心血管病は表1の②に示されるような,脳・心・腎・血管および眼底の障害である.これらのリスクと血圧重症度との関係からリスクを評価し,これらのリスクの層別化を行ったのが表2である.4)リスク度が高いケースでの注意事項 高血圧性臓器障害を有する場合には,その障害の程度をよく把握する必要がある.WHOの高血圧性臓器障害の分類(表3)のステージ3に属する症例は,術中に他疾患の急性発作を起こす可能性がある.また表2が示す重度高血圧およびリスク2層で中等度以上の高血圧,リスク3層の症例はハイリスクである.5)術中の注意点 術前は血圧が下がっていても,術中に収縮期血圧が169mmHg以上になって下がらない場合は手術を中止する.術中血圧上昇が予測される場合には,内科医と対診し,鎮静法を併用し,麻酔医に全身管理を依頼する.図1 初診時の高血圧患者へのリスク度チェックのフローチャート.

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