局所麻酔テクニック
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1)注射 注射とは薬の効果を確実にすることを目的に,管腔がある針(注射針)を穿刺・刺入し,薬液を注入することです.すなわち,①注射針を粘膜へ穿刺,②注射針を目的組織(部位)へ刺入,③吸引テスト後薬液を注入,④針を抜く(抜針),⑤針穿刺部位を圧迫止血する一連の手技です(図2‐1).欠点には不安と穿刺・刺入・注入痛で痛みをともない,出血もあります.とくに局所麻酔注射では局所麻酔薬中毒の危険性が高く,的確な手技と患者の全身観察,患者急変に対するスキルが必要です.【注射に際しての基本的注意事項】(1)安全な注射操作 ⇒ 眼・上顔面上からの注射操作はしない.注射器をしっかり把持し支点(レスト)を同顎に確保する.(2)刺入時,薬液注入時の疼痛を考慮 ⇒ 痛くない部位,表面麻酔の使用,低圧による注入など.(3)患者の不安感や恐怖感を緩和 ⇒ 目の前で注射器を持たない,見せない,金属音を出さない.(4)血管内への薬液注入を防ぐ ⇒ 薬液注入前に吸引テストを実施し,血液の逆流を認めた場合には,圧迫止血を行う.吸引テストは適宜繰り返す.なお,吸引テストで血液の逆流を認めないときでも,刃面が血管内に刺入されていることもある.(5)局所麻酔薬ショックなど偶発的な容体急変に備える ⇒① 患者の観察と自覚症状を聴取する.救急器具を常備し,救急処置ができるようにスキルアップする. ⇒② 患者の持病(医科疾患),血圧および脈拍数,予備力などを考慮する. ⇒③ 常用薬・頓服薬を処置・手術中に手許に置く.2局所麻酔注射16

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