歯科医院で患者さんにしっかり説明できる本2
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123利点欠点1歯面清掃2防湿と吸引3歯面乾燥4塗布剤と5塗布後の6塗布後の16発展講座では、フッ化物歯面塗布の効果的な塗布法を紹介します。高濃度フッ化物の塗布は年に数回となるため、この機会を生かしましょう。ます。診療室では、トレー法あるいは一般法が困難な小児に限り、ブロックごとにロールワッテで簡易防湿し、歯ブラシでゲル剤を歯面に塗布し、1~2分間静置後、余剰のゲルをワッテで拭き取るという原法11にしたがって実施しましょう。表3 フッ化物歯面塗布時の安全性確保〈参考文献〉1.荒川浩久.増補改定版乳幼児から高齢者まで すべての患者さんへのフッ化物活用ガイド. 東京:インターアクション,2022.2.一般社団法人日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会(編).フッ化物応用の科学 第2版.東京:口腔保健協会,2018.3.荒川浩久(監修).別冊歯科衛生士 歯科衛生士のためのフッ化物応用のすべて.東京:クインテッセンス出版,2005.4.可児瑞夫(監修).別冊歯科衛生士 これ一冊でわかるフッ化物の臨床応用 ホームケアとプロフェッショナルケアのすべて.東京:クインテッセンス出版,1996. また、液体、ゲル、フォーム(泡)については下に示す特徴を参考に、患者さんにあわせて選ぶとよいでしょう。塗布製剤の添付文書にはありませんが、歯ブラシを用いてAPFゲル剤を塗布する方法が歯科専門職の裁量のもとに実施されてい徹底的に歯面清掃する必要はないが、ポリッシングブラシなどである程度のプラークは除去し、隣接面はアンワックスデンタルフロスで清掃する。患者自身にブラッシングさせてもよいトレー法の場合、防湿は不要だが、綿球や綿棒を使う一般法と歯ブラシ法の場合は塗布ブロックごとにコットンロールで防湿する。上顎は唇頬側だけ、下顎は唇頬側と舌側の両方にコットンロールを置く。塗布中は排唾管をセットするエアーシリンジで乾燥させる歯面との接触唾液との接触を避けた状態で3~4分間、塗布剤を歯面に接触させる不要なフッ化物を口腔内から排除することを目的に、患者に指示して排唾させる。各ブロック(または全顎)の塗布終了時に、自然に口腔に貯留した唾液と塗布剤の懸濁物をスピットンに吐出させる排唾塗布後30分間は飲食や洗口をしない、唾液は飲み込んでもよいが、嫌な場合は排唾させる、フッ化物を過信せずブラッシングの励行と間食に対する注意を怠らない、リン酸酸性フッ化物(APF)で塗布した日(とくに塗布直後)は、着色防止のために、カレーやウーロン茶など色素の強い飲食物の摂取を控えることを伝える注意溶液●塗布後に溶液を拭き取らなくてよい●乾燥したら再度塗布して湿潤状態を保つ必要がある●溶液に適したトレーがなく、一般法で塗布する必要があるゲル●塗布しやすく、塗布状況が明瞭で視認しやすい・歯面への停滞性がよく、乾燥しないので繰り返し塗布する必要がない・トレー法の場合、一度に上下顎歯列の塗布ができ時間短縮となる●歯面に停滞するため塗布後にゲルを拭き取る必要がある●溶液に比べやや高価患者の手の届く範囲に塗布剤のボトルを置かずに、 1人1回分に小分けしたものを準備する余分なフッ化物を摂取させないよう、塗布中の患者の位置は座位とし、排唾管やバキュームを使用する塗布終了後は排唾を指示するフォーム●使用量がゲルの1/5と少ない●歯間部に入り込みやすい●トレー挿入の際にトレー辺縁から漏出して飲み込む危険が少ない●トレー法だけで塗布するため、嘔吐反射のある患者には不向きもう一歩深く!発有効性を発揮させるフッ化物塗布の方法 フッ化物歯面塗布は、適切な塗布時期、塗布剤、塗布術式で、定期的・継続的に繰り返すことがポイントです。幼児期の乳歯う蝕予防と学齢期の永久歯う蝕予防にとどまらず、隣接面う蝕と根面う蝕が問題となる、成人・老齢期まで応用されるべきです。ここからは、効果的な塗布法について紹介します。安全性を確保したのち(表3)、以下の手順で塗布しましょう。また、拒否の強い患者さんには無理に塗布しないようにしましょう。座講展

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