矯正治療が先か
8/8

6abcdef129 正しい歯冠形態のワックスアップをもとにスキャンしてインプラント埋入ポジションを正確に行っていれば,審美的により良い上部構造が装着できたはずである.上顎プロビジョナルレストレーションの期間に下顎の矯正を行っていることから,上顎の歯冠形態が原因で下顎前歯のリトラクトが足りなかった.下顎前歯のリトラクトをもう少し行えば,上顎前歯を立てることができる.ポイント なぜ前歯の形態が前方向きに見えるのかを考えると,インプラント埋入のための3Dシミュレーション時のワックスアップの舌面形態,頬舌径の厚みが足りないことがわかった.これは術前にスキャンしたワックスアップがセットアップ模型ではなく,セットアップをしていないもので行っていたことがすべての治療終了後に判明した.また,筆者は上部構造はつねにスクリューリテインを計画するため,舌面歯肉からクラウンの立ち上がりにおいて,プロビジョナルレストレーションやジルコニアの厚みを確保するために埋入角度が若干唇側方向にあることがわかった.埋入後のプロビジョナルレストレーションの舌面形態が原因で下顎前歯の舌側移動が足りなかったことも,上顎前歯のクラウンが唇側に向いているように見える原因となってしまった.まとめここがここがCHAPTER3 矯正治療が先か,インプラント治療が先か? 実践編図86a〜f CT画像による考察.上顎インプラント埋入の直前のシミュレーション(a,b).埋入術前のインプラントポジション(c:₁,d:₁).術前の下顎前歯の位置を修正する前のワックスアップで埋入方向を決めている.矯正移動後の下顎前歯を考慮した埋入方向であれば,上部構造の形態はもう少し直立して見えるようにできたはずである.上部構造装着後2年経過時(e:₁,f:₁).考察

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る