a図3a,b セファロ分析.図1 上顎側方拡大用Schwarz apli-ance.現症1.切歯交換期 顎偏位2.側方歯群交換期 (1)上顎左側犬歯の萌出スペース不足 (2)右側歯列の開咬図4 治療経過一覧.図2 上顎第一大臼歯遠心移動用Schwarz apliance.顎偏位の改善・上顎拡大上顎右側第一大臼歯の遠心移動b 顎偏位はできるだけ早期に治しておきたい.乳歯列期における顎偏位は,一部の乳歯の逆被蓋による歯性のものが多いため,筆者は咬合調整で治すことが多い(5章2参照).切歯交換期まで咬合調整で治らなかった場合,または本症例のように切歯交換期で来院した場合は,Schwarz applianceによる上顎 9歳2か月:Schwarz applianceを装着し(図1),上顎側方拡大を行った.9歳10か月:ほぼ正中が一致し,顎偏位は改善されたため,装置を除去し,側方歯群交換期まで経過観察を行った.11歳7か月:右側第一小臼歯が萌出し,犬歯萌出スペースが不足してきたため,第一大臼歯遠心移動をSchwarz applianceによって行った(図2).12歳3か月:第二乳臼歯が脱落し,リーウェイスペース分を含め,犬歯萌出スペースが確保されたため,装置を除去し拡大を行い,顎偏位を治すようにしている. 初診時8歳11か月の女児.う蝕治療希望で来院.左側顎偏位および切端咬合で反対咬合傾向も認められた.まずは顎偏位の改善を最優先し,反対咬合傾向は治療経過を診ながら治療していく方針とした.た.13歳4か月;上顎右側犬歯が萌出してきたが,犬歯萌出スペースが不足し,犬歯突出となった.12歳3か月時において,第一大臼歯が近心移動しないよう,保定しておくべきであった.その後,患者は装置の装着を望まず,経過観察していくこととなった.15歳1か月:成長とともに犬歯は少々入り込んできている.ほぼ成長発育は終了し始めており,下顎前突傾向は出ることはなかった.初診時のセファロ分析におけるKIX indexもSNP+Goも小さく,反対咬合の指標として,この症例においては有効であった(5章3参照).118治療方針Schwarz applianceSchwarz appliance舌癖治療方法および装置9歳2か月⇒9歳11か月11歳7か月⇒12歳3か月12歳4か月⇒12歳8か月MFTSNASNBANBAPDIODIKIX index0.9971.5SNPGo124.0SNP+Go195.5Wits-0.5治療期間9歲2か月11歲7か月77.572.55.079.576.571.55.079.575.5+4.572.5+3.51.0371.5124.0195.50.0顎偏位の治療方針矯正開始後の臨床経過症例 13切歯交換期:顎偏位主訴および矯正開始までの臨床経過
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