IYREGRUS LARODNA LATNEDCISAB : RANMES LAUSIVChapter1-1髙橋 哲/三浦桂一郎64(beta-tricalcium phosphate:β-TCP)であり,現在も多くの口腔外科医にとって使用されている(表2).しかしながら,HAは焼結体であるため生体内で溶解性が低く異物として残ることや,β-TCPは吸収性は有するものの,その溶解性は微細構造3やpH4によっても影響を受けることから,いまだ自家骨に匹敵しているとはいいがたいのが現状である.またその多くはインプラント治療の骨造成法での適用認可が得られていないものが多い. 近年,わが国ではインプラント治療における材料学的進歩が著しく,最近では吸収性を有する革新的な骨補填材が開発され,厚生労働省の認可を経て,販売されたり,販売予定のものが数多く出てきており,安全で安心なインプラント治療がますます期待できるようになった.本稿では,純国産メーカーによるインプラント適応人工骨として,とくに注目されている炭酸アパタイトを主成分とする「Cytrans® Granules」,ならびに生体アパタイト(biological apatite)の前駆物質であるリン酸オクタカルシウム(octacalcium phosphate:OCP)を主成分とする「Bonarc®」についての最新情報を提供する.Chapter1 口腔外科ビジュアルセミナーSection1ビギナー&ミドルのための必修 ベーシックテクニックDivision of Oral and Maxillofacial Surgery, Department of Disease Management Dentistry, Tohoku University Graduate School of Dentistryaddress:4-1 Seiryo-machi, Aoba-ku, Sendai-shi, Miyagi 980-8575東北大学大学院歯学研究科口腔病態外科学講座顎顔面・口腔外科学分野連絡先:〒980‐8575 宮城県仙台市青葉区星陵町4‐1The Latest Information on Bone Substitute for Implant TreatmentTakahashi Tetsu, Miura Kei-ichiro インプラント治療は,科学的根拠に基づく長期安定性と適応症の拡大にともない,欠損補綴におけるなくてはならない治療法へと発展してきた.インプラント適応症の拡大に大きく寄与してきたのは骨造成(増生)法の発展であり,それを可能にしたのが種々の骨補填材である.骨補填材は,自家骨(autologous bone),他家骨〔同種骨(allogenic bone),異種骨(xenogenic bone)〕,人工骨(alloplastic bone)に分類される(表1)1.インプラント治療の骨補填材には,生体親和性,骨伝導能/骨誘導能,多孔性,ストレス下での安定性,吸収性,賦形性,インプラントの安定と長期のインテグレーションが必要とされており2,これまでは自家骨がこれらの条件を満たすことからgold standardとされてきた.一方で自家骨は,採取量に限界があること,採取部位への侵襲によって一時的にではあるものの患者のQOLが低下するため,長きにわたり自家骨に置き換わる骨補填材の開発が望まれてきた. 本邦においてこれまで用いられてきている骨補填材は,生体親和性にすぐれるハイドロキシアパタイト(hydroxyapatite:HA)やβリン酸三カルシウムインプラント治療に用いる人工骨 最新情報
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