IYREGRUS LARODNA LATNEDCISAB : RANMES LAUSIVChapter1-1(使い方:7頁参照)46頁堀之内康文441)原因 術中,術後の出血の原因を表3に挙げる.ここでは局所的原因による出血について述べる.抜歯時の止血に難渋するほどの大量出血は,上顎埋伏智歯抜歯時の後上歯槽動脈の損傷4~6,下顎埋伏智歯抜歯時の下歯槽動脈あるいはその分枝の損傷7,8が多い.また,術後出血の原因のほとんどが抜歯窩内の炎症性肉芽組織の取り残しによるものであるが,稀に抜歯時に形成された仮性動脈瘤の破裂が原因の場合がある9~12.2)対処 止血方法を図1に挙げる.術中出血に対する止血方法の第一選択は圧迫止血であり,ほとんどが圧迫で止血可能である.出血に対しては慌てずに洗浄,吸引しながら出血点を確認し,ガーゼで出血点を確Chapter1 口腔外科ビジュアルセミナーSection1ビギナー&ミドルのための必修 ベーシックテクニックDepartment of Oral and Maxillofacial Surgery, Kyushu Central Hospital of the Mutual Aid Association of Public School Teachersaddress:3-23-1 Shiobaru, Minami-ku, Fukuoka-shi, Fukuoka 815-8588公立学校共済組合九州中央病院 歯科口腔外科連絡先:〒815‐8588 福岡県福岡市南区塩原3‐23‐1Prevention and Management of Complications of ExtractionHorinouchi Yasufumi 抜歯はminor surgeryではあるが,対象歯の状態や位置によっては思わぬ偶発症が発生することがある.口腔外科医は偶発症の少ない手術を期待されており,また他院で発生した偶発症の診断,治療を求められることもあるため,偶発症についての知識は重要である. 抜歯の局所的偶発症を表1に示す.また表2に「医療事故情報収集等事業第47回報告書(2016年7月~9月)」の「歯科治療中に発生した事例の概要」を示す1.この報告書は医療事故として取り扱われた症例の分析であるため,実際に発生している偶発症の頻度とはやや異なると思われるが,このような偶発症が医療訴訟へ発展しやすいと考えられる. 抜歯の偶発症のうち,major complication である下顎埋伏智歯抜歯にともなう「神経損傷」「歯根の舌側軟組織内迷入」「気腫」については, 本書『口腔外科ハンドマニュアル』2018年版で,また上顎歯の抜歯にともなう「上顎洞穿孔」「歯根の上顎洞内迷入」「口腔上顎洞瘻孔」「周囲軟組織への迷入」「上顎結節骨折」については,本書2019年版で詳述したので,そちらを参照いただきたい2,3.紙幅の都合もあり,本稿ではすでに述べた偶発症の再掲は避け,それ以外の偶発症のうち頻度の高いもの,問題となりやすいものについて記述する.出血抜歯時の偶発症の予防と対処
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