アレキサンダーディシプリン第3巻_NoLink
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b図1-3 (a, b)上顎スピーカーブに対する逆スピーカーブ.b図1-2 (a, b)オープンバイト診断用模型.aa41 • 開咬の治療安定していれば,このテクニックは将来的にハイアングル症例への治療法を変えることになるだろう.私が矯正治療を始めた頃,開咬の下顎歯列模型を観察し,歯列がきれいに並んでいることを覚えている(図1-2).それは,治療前には過蓋咬合であった症例がまるで治療を終了した時のアーチのようであった.この歯列を治療するには,過蓋咬合とは逆のメカニクスを用いるべきだと考えた.診断• 上唇の安静時の位置を観察する.中切歯切縁から4~5mmのところにあるはずである.• 笑った時の上唇の位置を観察する.歯肉縁から1~2mm以内にあることが必要である.患者に自然な笑顔を見せるための“グッチ・グッチ”テクニックについては,このシリーズの第2巻(112ページ)を参照していただきたい.開咬症例では,笑顔の際に上唇が上顎前歯の大部分を覆ってしまうことがよくある.治療の一環として,より多くの中切歯を露出させるために中切歯の挺出を行う.そのためには,0.016 SSと17×25 SSの上顎アーチワイヤーに逆スピーカーブを入れ(図1-3),必要に応じて上下方向の前歯部四角ゴムを装着する(図1-4).歯性オープンバイト vs 骨格性オープンバイト骨格パターンが正常(下顎下縁平面角が小さい)であるにもかかわらず,咬み合わせが開いている場合は,歯性オープンバイトとして治療することができる.適切なバイオメカニクスとエクササイズにより,この患者は素晴らしい結果を得られるはずである.開咬が骨格性なものである場合,問題は大きくなる.手術が唯一の手段となるかもしれない.開咬治療のメカニクス• ブラケットの装着:臼歯を圧下し前歯を挺出することを目標とする.これは,ブラケットの高さの配置を変えることで達成される.咬合していない歯は,ブラケットを0.5mm歯肉側に配置する.咬合している歯に対しては,ブラケットを0.5mm咬合面側にポジショニングする.アレキサンダーディシプリンにおける開咬治療のメカニクス

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