11私の開咬の定義は下顎の切歯切縁が上顎の切歯舌側切縁に触れてない咬合のことである.幸いなことにアメリカ人のほんの4%だけが前歯部開咬である.男性よりも女性のほうがわずかに多く,白人よりも黒人のほうが4倍多いと言われている.開咬には骨格性と歯性の2タイプがある.骨格性開咬は上下顎前歯が唇側傾斜しており,ハイアングル傾向の骨格パターンである一方,歯性の開咬は上下顎前歯が唇側傾斜しており,平均的あるいはローアングル傾向の骨格パターンである.開咬の病因を取り巻く問題には,遺伝的なものか,後天的なものか,あるいは環境によるものかがある.私の経験では,開咬はほとんどの場合,筋肉と咬合のアンバランスによる後天的なものである.口呼吸をしている6歳児は,永久歯の第一大臼歯における咬合力が弱いため,第一大臼歯が挺出してきてしまい,垂直方向への成長を増長してしまう.垂直方向への成長量が増加すると,開咬になる可能性が高くなる.また,私が治療したすべての開咬の患者には舌突出癖があった.とは言うもののこの異常な筋機能をコントロールすることで,開咬を改善することはできないが,矯正治療後に開咬が再発しないようにすることは可能である.開咬の治療を成功させるためには,特定の筋肉の問題を鑑別して解決する必要がある.初診時,歯科矯正医は下記の項目を評価(チェック)しなければならない.• 拇指吸引癖• 口呼吸• 舌突出癖• 咬合力の弱さ– Johann Wolfgang von Goethe “あなたができること,できると夢みることは,何でも始めなさい. 大胆さが才能と力とマジックを生み出すのである.”CHAPTER病因初診開咬の治療
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