インプラント領域の骨欠損部を増大させるにあたり、骨補填材料、メンブレンを完全に閉鎖するうえでフラップの減張による十分な伸展が必要となる。下顎において十分に骨欠損部を増大させるには頬側のみならず舌側フラップの伸展も必要となり、切開を入れることでフラップの伸展を期待することもあるが、それによって術中・術後の合併症の引き金となってしまうこともある。この「Urbanの改良型舌側フラップの伸展」は、舌側部位を3つのゾーンに分け、それぞれのゾーンの軟組織、解剖学形態に則した鈍的剥離を行うことにより、従来の舌側フラップの伸展よりも伸展量が増え、より欠損部の骨増生が行えるとともに安全性を考慮した術式である。解説者コメント 下顎を3つのゾーンに分け、それぞれのゾーンに合わせてフラップを剥離する「Urbanの改良型舌側フラップの伸展」は、従来の術式よりもよりフラップを伸展することができ、より安全に骨欠損部ボリュームの増大が可能であると示唆されている。しかし、下顎舌側には顎舌骨筋といった筋群から血管群、神経群さらには顎下腺を含む腺組織、舌といった口腔内の恒常性を保持するための重要な組織が存在するとともに、外科的侵襲部位の増大もともなうので、それらの解剖学的知識の熟知、基礎的な外科手技も含めた手技のスキルアップ、手術助手との綿密な連携等を行うことによって術中、術後の合併症を起こさないように最善の注意を払う必要性があると思われる。顎舌骨線顎舌骨筋舌骨ゾーンⅠゾーンⅡゾーンⅢ47最近のキーワード出典 Myron Nevins,Hom-Lay Wang(監著),小野善弘,窪木拓男(監訳).増補新版 インプラントセラピー.臨床的アプローチと成功の根拠 第2版.東京:クインテッセンス出版,2020.Urbanの改良型舌側フラップの伸展
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