ペリオインプラント再生治療2022_Nolink
3/8

2治療計画1検査・診断 患者は58歳、女性。全身疾患は特になし。「前歯を入れ歯でなくてインプラント治療したい」を主訴に来院した。パノラマX線写真およびCBCTによる検査において、₅₄₃₂の連続した欠損を認め、ロングスパンブリッジの破損が認められた。さらに₁と₁は根強度に問題を認めた。₂、₃は歯根破折を認め抜歯の適応であった。 そこで₃₂を抜歯、₁₁を顎提のボリューム保持のためにサブマージして₃₂₂₃にインプラント埋入をして前歯の補綴をすることとした。本症例の周囲骨レベルは軽度の垂直的骨吸収があるが、ポケットデプスは5mm以下でありStageⅡと言える。また垂直的骨吸収を15%とし63歳で割ると0.24でかつ非喫煙者のためGradeAとした。一次手術の治療計画 ₃は骨が頬舌的に非常に狭窄しており、埋入が困難であるが、インプラント埋入と骨増生を同時に行い、かつインプラントがスクリュー固定になるように舌側方向に埋入する。その時インプラント根尖は頬側に突き抜けるため骨増生は頬側と舌側と両方に行う。₂はやや狭窄しているが、インプラントは既存骨に埋入が可能である。₃と同様にスクリュー固定になるように舌側方向に埋入する。 ₂₃は口蓋の骨量も十分にあるため抜歯即時インプラント埋入を計画した。しかし頬側の骨はほとんどないため、頬側には骨増生も同時に行う。二次手術の治療計画 このような審美エリアにおいてインプラント治療をする場合、軟組織のボリューム不足が懸念される。欠損部は軟組織の減少とともに角化歯肉が減少しており、審美的な結果を得るには軟組織のボリュームアップが必要になる。そこで二次手術において軟組織の水平的なボリュームを増やすために「コラーゲンボールテクニック」を行う計画を立てた。 軟組織のボリュームを増す手法は口蓋からの自家組織移植が多く使用されると思われるが、Griffinらは自家軟組織の採取は、術後疼痛の増加、術中および術後の出血の増加、手術時間の延長、一過性の口蓋感覚障害などを引き起こすと報告している1。またMcGuireらは、患者の評価において非自家組織増大術を望む患者が多いと報歯学博士広汎型軽度慢性歯周炎30ペリオの新分類に基づく初診時所見水口稔之 水口インプラントセンター新宿(東京都)理事長Stage ⅡGrade A巻頭症例 ペリオ・インプラント再生治療2022コラーゲンボールテクニックを利用したペリオ症例

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る