▶活動性,非活動性う蝕病変の違い▶写真で見る非切削う蝕治療による歯面の変化▶非活動性(Arrest)う蝕病変の状態a図12a~c 進行が停止したう蝕病変.上顎前歯唇面,下顎舌側,上顎頬側のいずれもう蝕病変の上にプラークはなく歯面は滑沢となっており,進行停止状態と考えられる.bcいただければ幸いである. なお,図11aは,歯面のプラークを除去した状態である.歯面は白く粗造で活動性の状態であったが,非切削う蝕治療の結果,元の歯面の色調に近い状態に戻った(図11b).この状態は非活動性である. このように,平滑面は直視して変化を確認できるが,隣接面は注意深く歯面を診査し,エックス線を併用するのが現実的である.咬合面はプラークを除去し,注意深く診査することにより平滑面と同様な変化を確認できるが,裂溝の内部は直視できないため,診断が困難である.図10 う蝕病変の診査において,視診やエックス線検査で発見したう蝕病変が進行中の病変(活動性,Active)なのか,あるいは,過去に生じた病変で現在は進行を停止(非活動性,Arrest)している状態なのかを診査することは非常に重要である(参考文献5より引用・改変).図11a 非切削う蝕治療開始時.歯面のプラークを除去し,エアーで5秒間乾燥した状態.ICDASコード2で活動性う蝕病変(Active)である.図11b 5か月後の歯面の状態.ICDASコードは3となったが,白く輝いていた状態(Active)から,不透明で黄白色な状態(Arrest)の歯面へと改善している.図11a図11bICDASとXRをマスターしようう蝕活動性の評価プラークが停滞する部位(小窩裂溝,隣接面,歯肉縁)厚い,硬いプラークくすんでいる,不透明で黄白色粗造なエナメル質,軟化象牙質炎症あり,プロービング時の出血ありthe Quintessence. Vol.40 No.1/2021—0001活動性評価項目病変部位病変上のプラーク表面の状態触診歯肉の状態(病変が歯肉に近い場合)非活動・進行停止プラークが停滞しない部位少量またはなし滑沢,茶褐色滑沢で硬いエナメル質,硬い象牙質炎症なし,プロービング時の出血なし活動53
元のページ ../index.html#2