必ず上達抜歯手技_増補新版_Nolink
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ca〜d:歯根周囲の骨削除.歯根周囲の骨を削除することにより,脱臼時の歯根の動きに自由度・余裕をもたせると,根尖部での下顎管への圧が軽減される.●40●41a, b:頬側グルーブの形成.ヘーベルを有効に作用させるために,頬側皮質骨と歯根との境目にバーでグルーブを形成する.グルーブの幅はヘーベルの刃部の厚みよりもやや広め,深さは最大豊隆部よりも深く形成する.グルーブの幅が広すぎるとヘーベルが空回りするので注意.▶歯根による下顎管圧迫を回避するためには,絶対に歯根を押し込まないで,「歯根を前方に引きずり出す」ようにヘーベルを使わなければならない.▶筆者が名づけた,①頬側グルーブ41,②背面グルーブ44(グルーブ=溝)を形成してヘーベルを使うと,歯根を押し込むことなく前方に出すことできる.▶また,歯根に沿って歯根周囲の骨をバー1本分程度削除しておくと,歯根が動くスペースが確保されて脱臼しやすくなる40.▶グルーブの幅はバー1本分よりもやや広めに,埋伏歯の最大豊隆部より深いところまで形成する.幅が広すぎるとヘーベルが空回りするので,広くなりすぎないように注意する.▶形成したグルーブにヘーベルを真上から(歯根に対しては直角になる)挿入して歯根が前方へ移動するようにヘーベルを回転させる41c, d.このときヘーベルのエッジ(先端ヘーベル先端の横断面c, d:ヘーベルの挿入,脱臼.真上からグルーブ内にヘーベルを挿入して,ヘーベルのエッジを使って歯根が前方へ移動するように矢印の向きにヘーベルを回転させると,歯根を押し込まない.このヘーベルの使い方により歯根が舌側へ押しだされて舌側の骨が破折するということはない.▶グルーブの幅が広すぎたり,深さが最大豊隆部より浅かったりすると,ヘーベルが空回りするので,うまくグルーブを形成する42.▶頬側に形成したグルーブ42dにヘーベルを歯根に垂直な方向から挿入42eする.▶埋伏歯根が前方へ出る方向にヘーベルを回転させて,ヘーベルのエッジで前方へ出す42f, g.▶ヘーベルのエッジがうまく歯根にひっかからない場合には,エッジがひっかかるグルーブを歯根に形成するとよい後述43a〜c.ヘーベルの回転方向118118abdabcd第11章②頬側グルーブの作り方,使い方──知覚鈍麻が出にくいヘーベルの使い方ではなく脇)をうまく利用する.▶歯冠部除去後に,歯根と頬側皮質骨との境目に,バーを垂直に立てて,歯冠分割面側から歯根面に沿ってグルーブを形成する41a, b.頬側グルーブは,埋伏深度が浅い場合に形成しやすく,また有効である.

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