ペリオ&咬合全顎ケースに悩んだ時に読む本
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どんなケース?どんなケース?④₄の骨欠損は根尖周囲まで及んでいた.⑤動揺度は₄が3度,₆が2度.診断:広汎型慢性歯周炎,二次性咬合性外傷.積極的介入咬合・補綴系保存的介入ペリオ系初診:1999年9月 41歳,女性(公務員;喫煙者).主訴:右上の咬合時の痛み.全身既往歴:特記事項なし.口腔既往歴:20代よりう蝕治療にて臼歯部補綴,前歯部補綴治療を受けていた.どの部位をいつ治療したのかは記憶が定かではない.1998年右上疼痛のため某歯科医院を受診,₆クラウン除去後,消炎処置を受け,そのまま症状消退のため放置していた.口腔内所見(図36a~e):①歯肉の色が暗いピンク色を呈していた.歯にステインの沈着も認められる.喫煙(1日30~40本)の影響が推測される.②全顎的に歯肉退縮が進行していた.補綴装置はほとんどマージンが露出して二次う蝕になっていた.③上顎前歯部の角化歯肉,付着歯肉の量は豊富である.上顎に比べて下顎の付着歯肉幅は少ない.④臼歯部の咬合関係は左右は1級に近い.咬合面のファセット,咬耗が認められる.ブラキシズムなどのパラファンクションの関与が示唆された.⑤上顎6前歯が補綴され,犬歯の歯冠長が短い.側方運動時犬歯誘導ができずに臼歯部によるガイドとなっていた.デンタルエックス線所見,歯周組織検査(図36f,g):①全顎的に3~5mmの歯周ポケッットをともなう水平的な骨吸収を認める.部分的に歯槽硬線の消失もみられる.外傷性咬合に起因すると思われる二次性咬合性外傷による骨縁下欠損も認めた.BOP+の部位もみられた.②根分岐部病変:₆は1度,₆₇は1~2度,₆₇は1~2度,₆は1~3度.③₆近心根にファイルの破折に起因すると思われる根尖病変,₆に根尖病変を認める.48喫煙者に対する歯周外科も含めた歯周病治療と力のコントロールについてのケース.本基本症例の概要 基本症例4★歯周炎患者(喫煙者)への歯周外科処置(22年経過)

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