ペリオ&咬合全顎ケースに悩んだ時に読む本
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1少数歯欠損2数歯欠損 歯周病が進行すると,欠損は拡大して,口腔周囲組織へのダメージも大きくなります.その状態を回復するためには,1歯単位の歯の診断も大切ですが,1口腔1単位での診断,治療がより重要になります. 欠損状態が違っても,歯周病治療の目標は,歯周環境整備後に咬頭嵌合位の安定,アンテリアガイダ なるべく天然歯の状態を維持して,歯周病の進行,欠損の増加をさせないことが重要です.残存歯の治療が主体になります.歯列不正には矯正治療も視野に入れます.歯周基本治療,必要な部位には歯周外科を適応します.機能回復は,連結固定,ブリッジなどによる固定性補綴装置による治療を行います. 歯周病が進行している場合,少数歯欠損でもすでに多数歯を取り込んだブリッジなどで治療されてい これ以上の欠損の進行を防ぐために,口腔全体の機能回復を行います.多くの場合,既存の補綴装置の再治療を含めた全顎治療になります.遊離端欠損部にはインプラント治療を行い,固定性補綴装置によりポステリアサポートの確立を目指します.失活歯の再感染根管治療,歯周外科を含めた歯周病治療を適応して残存歯の延命を図ります.ンスとポステリアサポートを調和させ,メインテナンスを行いやすい口腔内を構築することです. 本書は,欠損状態を大きく,少数歯欠損,数歯欠損,多数歯欠損の3つに分類し,症例を提示しています.各分類での治療のポイントを列記し,その経過を解説します.るケースもあります.その場合,補綴装置の再治療に合わせて,歯周環境の整備,咬合平面の修正や,前歯部によるアンテリアガイダンスの確立,確実なポステリアサポートの維持のため広範囲な補綴になります.仮に,その時点で患者さんが治療を希望されず,妥協的な介入でなんとか維持できたとしても,いずれ問題が全顎的に広がることを念頭に,説明,補綴設計を立てます. 残存歯とインプラントを含めた補綴装置の相互のバランスを考えて口腔内環境を再構築し,その維持を目指します.一般的な補綴治療とは設計が異なる,いわいる歯周補綴となります.この場合,まず大切なのは,健全残存歯を補綴することなく,口腔内環境を長期に安定した状態に保てるか,総合的に判断することです.9プロローグ

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