そのまま使える! スキルも上がる! ブラッシング指導テクニック
5/6

106言葉がけの例 ○○さんの場合、今日の行った部位の奥2本の歯の歯周病が進んでいるので、その部分は全体を磨いた後もう一度意識的に磨いてくださると効果が出やすくなります。 歯肉縁下のスケーリング・ルートプレーニング(SRP)に入るときには、歯肉縁上のコントロールレベルが上がっていることが前提です。しかし実際の保険診療では、SRP前に思うようなブラッシング指導の時間がとれないため、細かいところやまだテクニック不足のところ、継続して行えるよう繰り返し指導をしたいなど、課題は残ります。そのためSRPへ移行後も少しずつ指導していくようにします。 SRPは、施術された感覚が患者さんに強く残ります。自分では取り除くことのできない歯肉縁下の感染を除去してもらったのですから、効果をしっかり出したいという思いが高まるときであり、その術部に対して興味がわくときです。ですから筆者は、SRPを行ったときは処置した部分の状況や治癒の予測などとともに、ワンポイントアドバイスするようにしています。 施術に時間がかかりブラッシング指導の時間がとれないとき、まずは施術で疲れている患者さんを気遣ってください。それも言葉にして伝えてください。また、術後の痛みや知覚過敏についての説明もします。言葉がけの例 お疲れさまでした。お痛みなど大丈夫でしたか? 今日は右上の奥歯4本の歯ぐきの中の歯石を取り除きました。今回はしっかり歯石を取り除けたと思います。歯石を取り除いたことで今日から2~3週間は、生体が治癒に向かってもっとも動きやすい時期に入ります。ですからその間は全体を磨いた後にもう一度処置した部位を磨いてもらうと効果が出やすくなります。ただ、歯ブラシを当てて少し痛みがあれば、そのときは加減して磨いてください。痛みがなくなってからしっかり磨いてもらえば大丈夫です。 もし特に意識してほしい処置部位があれば、エックス線写真で歯槽骨のライン(歯槽骨頂)などを示しながら、次のような具体的な説明を付け加えます。プラコンアップにつなげる!SRP直後の伝え方1指導例 処置後は患者さんの意識がその部位に集中しますので、エックス線写真や口腔内写真を使って歯肉縁下の状況を説明すると、価値観を上げるきっかけになります。一言添えるか添えないかでぜんぜん違うものです。SPR後の指導は短時間で有効に活用しましょう。そのまま使える! スキルも上がる! ブラッシング指導テクニック―だれも教えてくれなかった、結果を出す技と伝え方―SRP中はプラコンアップのビッグチャンス!

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る