そのまま使える! スキルも上がる! ブラッシング指導テクニック
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80テクニック 4磨けていないことを体験させて、興味を一気に引き上げる 口腔内に炎症がありもう少しブラッシングを上げたいが、患者さんに「頑張ってやっています」と言われてしまうと言葉が出ないですよね。歯周治療の重要性をなんとなくわかっていても、ブラッシング指導を受ける必要性を強く感じている方は少なく、また自分はブラッシングができていないと思っている方も少ないです。まずはいろいろお伝えして興味を上げるよう努めます。しかし今一つ伝わらないときや口腔内の問題をわかってもらえないときなどには、次の方法が有効です。筆者も患者さんに気づきを与える方法としてよく使っています。手順①指導に入る際に患者さんに質問をします。言葉がけの例 現在は歯磨きで歯ぐきから出血しますか? すると多くの患者さんが「出ないです」と言われます。手順②その後は、言葉がけの例 そうなんですね。今日は歯の裏側の磨き方を確認したいのですが、まずここの部位をどのように磨いているか教えてもらっていいですか? などと伝え、実際に鏡を見ながら磨いてもらいます。部位はできるだけこちらから指定します。実際患者さんが磨いても申告通り出血はしません。手順③その状態から手を添えず口頭のみでアドバイスします。歯ブラシがしっかり歯頸部に当るよう、角度や動きを少しアドバイスします。たとえば磨く位置を変えたければ、言葉がけの例 ○○さん、ブラシの向きや動かし方はとてもよいです。あとはブラシを歯と歯ぐきの際に当ててもらうとよりいいと思います。 と口頭だけのアドバイスをします。絶対手は添えてはいけません!(ここ重要です!) 患者さんがやり方を改善して磨いていると、炎症のある部位にもブラシが当たりますので当然出血がともないます。患者さんによっては隣接面や隅角部からかなり出血される方もいます。手順④指定の部位が磨けたら、患者さんに歯肉や歯ブラシを見てもらい出血しているのをよく確認してもらいます。多くの患者さんが「家では出ないのにね~」や「え~すごい血が出てる~」とびっくりされ、自分の磨き方では足りない、もしくはやり方がよくなかったと感じられるようです。「もう少し歯ぐきのところを磨くのですね」「自分では磨けていると思ってたよ」など現状では足りないことを実感され、その後の話し合いはスムーズになります。指導ポイント アドバイス時に手を添えて行うと、「歯科衛生士が磨くと出血する」という考えで終わってしまうことがあります。アドバイスはもらったけど、あくまで自分で磨いて出血がこんなに出る、ということを体験から理解できることがねらいです。そのまま使える! スキルも上がる! ブラッシング指導テクニック―だれも教えてくれなかった、結果を出す技と伝え方―患者さんの意識改革15のテクニック~教えるだけの指導からの脱却~

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