ゼロボーンロスコンセプト
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212ブリッジにおけるチタンベースの使用方法ンプラントに直接接合し、ブリッジをこのアバットメントに接合するというものである。このアプローチの支持者によると、マルチユニットアバットメントは、インプラントに対する補綴装置のさらなる適応を可能にするため、セメント/スクリュー固定式補綴装置のセメントのような働きをすると説明している。パッシブフィットを満たす補綴装置は、インプラントと直接接触し、適合精度が低いスクリュー固定式の他の補綴装置に比べて張力が少なく、その結果、歯槽骨吸収が少なくなる。4~6本のインプラントを埋入し、ロングスパンの連結補綴装置を装着する全顎的補綴を考えると、マルチユニットアバットメントの使用は理にかなっていることは明らかである。しかし、3~4ユニットのブリッジの場合、アバットメントレベルの補綴装置の方がインプラントレベルの補綴装置よりもすぐれていることはまだ証明されていない。 さらに、マルチユニットアバットメントが内部応力を軽減するというのは理論に過ぎず、インプラントレベルとマルチユニットアバットメントレベルのスクリュー固定式補綴装置周囲の歯槽骨の安定を比較したエビデンスもまだ発表されていない。加えて、小さなマルチユニットスクリューは通常、装着するために必要とされるトルクは小さい(わずか15Ncm)が、インプラントに補綴装置を維持するトルクは30~35Ncmであるため、スクリューの緩みまたは破折が生じることになる。また、マルチユニットアバットメントの使用は、インターナルコネクションをエクスターナルコネクションに変換する。エクスターナルコネクションはインターナルコネクションに比べ安定性が低く、明らかに不利な点があることはよく知られている。このアバットメントレベルのアプローチを行う場合には、少なくとも2本のスクリューが必要であり、スクリューに関連した併発症がともなう。 インプラントアバットメントシステム内の張力を軽減し、歯槽骨の安定を高める方法としてこの考えを提案するには、エビデンスに基づいた背景が欠けている。アバットメントレベルのアプローチとインプラントレベルのアプローチのどちらを使用するかは、どちらが有利か証明されていない以上、臨床医次第である。しかし著者は、インプラントレベルの維持機構よりもすぐれていることを示す確固たる臨床的エビデンスが発表されない限り、アバットメントレベルのアプローチを推奨することはできない。特に、チタンベースを用いてセメントでパッシブフィットが得られたセメント/スクリュー固定式補綴装置よりもすぐれている可能性は低いと思われる。マルチユニットチタンベースアンダーカット歯肉相当部の高さコニカルコネクションvs図14-14 (a)マルチユニットアバットメントは、インプラントとブリッジとの間の中間構造体として使用される。この方法は通常、非常に急なコニカル形状(たとえば6°以下)を有するインプラントに適用され、このタイプの接合部では直接インプラントレベルの補綴が不可能となるためである。(b)エンゲージ部を切断したチタンベースの解説。コニカル部分には損傷がなく、これは特に重要となる。ab

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