天然歯にこだわるGPの総合歯科臨床
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症例1c 補綴上部構造を除去した状態.症例1d 歯頸部に近い唇側歯根の一部と根尖部とに歯根を分離した状態.症例1e Benex Control Professional (Meisinger)にて愛護的に根尖部の歯根を抜歯した.症例1f 歯頸部唇側の歯根以外の部分を抜歯.症例1a,b 患者は24歳,女性.₁が食事中に動き始めたとの主訴で来院.歯を触ると少し痛いとのこと.₁₁には補綴処置がなされており,₁は大きく動揺している.エックス線診査により歯根1/3の深さにて破折線が認められる.caedf骨や軟組織の維持を図ることが可能になる.SST適応基準となりうる抜歯理由としては,歯の破折がもっとも多く,次に歯内療法の治癒不良やう蝕の進行が挙げられる.また,骨幅が1mm以上の頬側骨壁,2mm以上の付着歯肉の存在などの適応基準もある. Hinzeらによれば,ソケットシールドテクニックを応用した症例において,術前から12週後の比較したところ,辺縁部軟組織に大きな変化はなく,維持できていると報告している15.特に,頬側軟組織カントゥアの平均距離変化が0.5mm以下であり,他の文献では平均0.88mmとの報告もある17.これは即時プロビジョナルレストレーションの有無が関与していると考えられ,エマージェンスプロファイルが付与されることで辺縁部軟組織を維持している.当院においては,この理論を応用して抜歯即時埋入時に,カスタムテンポラリーヒーリングキャップ(Custom Temporary Healing Cap; 以下CTHC)を用いている.また組織学的には,歯根片面には新生セメント質が存在しており,破骨細胞のリモデリングがあまり見られないとされている17,18.このため,上皮の下方成長を防止し,新生骨の形成を可能にしており,頬側歯槽骨の維持に役立っているとも考えられる. したがって,ソケットシールドテクニックを利用することでインプラント周囲組織を維持でき,良好な予後を獲得することができると考えている.a. ソケットシールドテクニックを用いたフラップレスの抜歯即時埋入 患者は,24歳の女性.₁が食事中に急に動き始め患者:24歳,女性 主訴:₁が動き始めた症例1術前抜歯即時埋入時b235第5章インプラントを永続させるために

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