天然歯にこだわるGPの総合歯科臨床
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症例5a〜h 患者は22歳,女性.前歯部の審美障害を主訴に来院した.上顎歯列が狭窄しており,右側臼歯部が反対咬合,左側臼歯部が切端咬合.₂₂は舌側転位しており上顎犬歯低位唇側転位である.臼歯関係はⅡ級である.abfghcde目からは1日1回転)を開始した.この術式は, TADを利用した正中口蓋縫合離断術;MARPE(Micro-implant Assisted Rapid Palatal Expander)7よりも確実に正中口蓋縫合を拡大できると考えている.4か月後に上顎にはTPA(トランスパラタルアーチ)をセットし,上顎側方拡大の後戻りを防止した.治療開始から19か月後には,歯列の審美的な改善は達成できた.しかし,術前からのガミースマイルおよび上顎両側犬歯部の歯肉退縮が課題となった.正中口蓋縫合部は骨化した.矯正治療後の歯周形成外科によるリカバリーに関しては,第4章の2項を参考にしていただきたい. この症例のように20歳を超える患者にRPEを適応する際は,外科処置により確実に骨レベルから側方に拡大することによって,歯をボーンハウジングから逸脱させることなく側方拡大することが可能となる.また,トータルディスクレパンシーの分析の結果抜歯矯正となった場合,歯列を骨レベルから側方拡大することによって,患者の舌房領域を拡大もしくは保持することが,術後の不定愁訴発現の防止に必須であると考えている(第6章を参照).患者:22歳,女性 主訴:前歯部の審美障害症例5術前2018年4月11日101第3章口腔機能を改善するために

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