天然歯にこだわるGPの総合歯科臨床
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ずいぶん以前から『金成先生に足りないのは知名度だけ』と繰り返し述べてきました.これだけの実力を持った臨床医としては未だ知名度が足りないのではないか,と感じるのが私の常の不満であったのです.しかしながら現在,金成先生はその実力が広く全国的に知られ,認められています.そして今回,ここにその業績をまとめた書籍が完成され,金成先生の卓越した臨床技術とノウハウが多くの歯科医療関係者に知らされるのは素晴らしい出来事だと感じています.金成先生と初めて知り合ったのは,今から16~17年前.インプラントのセミナー中に『山口県でとても熱心にインプラント臨床に取り組んでいる先生がいるから面倒をみてあげて』と師匠である糸瀬正通先生から紹介された時だったと記憶しています.以来,機会あるごとに金成先生は自身臨床ケースを必ず持ってきてアドバイスを求めてきました.その時,私は既に整った治療の美しさというか切れ味のようなものを感じていました.金成先生は日毎に実力をつけてきました.そこである時,金成先生に,『少し遠いが福岡の勉強会に来ないか?』と誘ってみました.もちろん(?)金成先生は二つ返事で応じ,その後現在に至るまで遠く福岡まで足を運んで熱心に参加され,現在では幹部の一人として会の運営に携わり,後輩への熱い指導をしています.いつも感じているのは金成先生の飲み込みの早さ,要領の良さ,そして行動,実践の速さです.そしてさまざまなアイデアを持っていることです.最後に何より矯正の臨床が卓越していることが大きな強みだと思っています.総合歯科治療の重要性が叫ばれて久しくなりました.個々の症例について総合的な視点から組み立て,偏ることなく治療を行うことは理想的です.医科では総合診療科があり,テレビで一時期ブームとなりました.歯科において総合治療ではすべての領域において及第点以上の治療成果を上げながら,適切な組み立てのもとに行うことが必要であると私は考えています.複数の歯科医師による総合歯科治療ではタクトを振る歯科医師の存在が必要とされます.一方で一人のドクターがGPとして総合的診療を行う時,指揮者は自分自身であるため,統一性,そして無駄な時間やステップを省くことができ効率性において有利であるものの,歯科医師の得意不得意がどうしても出てしまうことが欠点となってしまいます.金成先生は,矯正治療はもちろんのこと外科処置,歯内治療,歯周治療,咬合,補綴修復とすべての領域において専門医レベルの臨床を行うことができる数少ないドクターの一人であると思います.今回の書籍をご覧になればすぐにわかると思いますが,すばらしい臨床例がこれでもか,これでもかと出てきます.そしてその臨床の各ステップについて詳細に解説がなされており,また使用する器具についても惜しむことなく紹介されていてとても役に立ちます.「まさに図鑑のような書籍である」というのが私の印象です.読者の皆さんにはその臨床を素晴らしいと感じるだけでなく,同じような臨床ができるようになるためにはどうすれば良いのかを文字だけでなく写真からも読み取っていただきたいと思います.多くの方々に読まれることを願っています.推薦者 水上哲也推薦の言葉『素晴らしい総合歯科治療の実践が数多くの症例とともに解説される図鑑のような書籍です』

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