口腔内スキャナーはじめて講座_コピー
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あったとしてもフローが良いため細部まで侵入し、印象採得が可能である。 また、IOSを用いたデジタル印象によって修復・補綴装置を製作した場合には、原則的に作業用模型がないため、もしショートマージンとなった場合に事前確認を行う術がない。たとえ模型を3Dプリンターなどによって製作したとしても、元データが不適切であれば不適切な模型ができてしまう。これらが重なると最悪の場合、歯科医師が不適合な修復・補綴装置を気づかずそのまま装着してしまうこともあり得る。このことは、従来の練成印象材と石膏作業用模型の組み合わせにおいても起こり得たことだabab図4-9a、b デジタル印象採得が適切に行われているように思えたしても、フィニッシュラインが歯肉縁下に位置する場合には歯肉によって覆われたり、出血により不明瞭となったりしやすい(a)。この場合、構築されたバーチャルモデル上でもフィニッシュラインが認識しづらく、正確なマージン設定が困難となる(b)。Chapter 448図4-8a、b フィニッシュラインが歯肉縁下となった場合に歯肉がフィニッシュライン部を覆ってしまうと、一方向からだけの撮影ではアンダーカットとなった部分を認識することが困難となる(a)。フィニッシュラインが歯肉縁下となった場合には、デジタル印象採得の難易度が上昇する。しかしながら日常臨床では、う蝕処置におけるう蝕の位置や、フィニッシュラインがすでに歯肉縁下へ設定されてしまっている不適合補綴装置の再治療など、良好な条件の場合ばかりではない(b)。図4-9c 余剰な歯肉や出血をコントロールすることで正確なデジタル印象採得を可能とし、構築されたバーチャルモデル上でも正確なマージンラインを設定することができる。図4-9d 歯肉がコントロールされる前のバーチャルモデルにおけるマージンライン(b)と、コントロールされたバーチャルモデルにおけるマージンラインの違い(d)をご確認いただきたい。bのように余剰な歯肉や出血が存在した状態で構築されたバーチャルモデルに対してマージンラインを設定しても、識別が困難なため実際のフィニッシュラインより内側へマージンラインが設定されている。IOSによる「採れているようで採れていない」印象フィニッシュラインが歯肉縁下となる場合の問題点

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