える。しかし一方で、大きく重いIOSの場合は持ちにくく、逆に操作がしにくいとの意見もある。とくに女性の術者は重みを感じるようである。 他方では、IOSを手のひらで比較的しっかり把持するパームグリップも存在する。パームグリップは指先でつまむ感覚のペングリップと異なり、手全体で持つイメージのためIOSの大きさや重さを苦にすることが少ないと思われる。また、便宜的な表現となるが、順手(図2-21)や逆手(図2-22)にも持ち替えることが可能で、術者と患者の位置関係によっても対応しやすいのではなかろうか。しかし、日常臨床でこのように治療器具を把持することは多くないため、違和感を覚える臨床家も存在する。 次項で述べるようにIOSの持ちかたはデジタル印象採得時における術者の姿勢とも大きく関連してくるため、自分が楽に適切なデジタル印象採得を行うために施術しやすい持ちかたを見つけることが大切である。 またペングリップ、パームグリップの一方にとらわれず両方の持ちかたを併用してもまったく問題はなく、可能であれば各々を駆使してIOSを臨床応用することで、より容易で的確な印象採得が可能となる。Chapter 228図2-19 約10年前のIOS(CEREC 3、シロナデンタルシステムズ〔当時〕)。当時は口腔内カメラとよばれていた。現在のIOSと比較して性能や機能が限られている分、軽量であった。最初はシーメンス社とチューリッヒ大学が開発を行っていた。タービンと同様に把持できるよう設計されている。図2-21 パームグリップはペングリップと比較して重みのあるIOSをしっかり把持することが可能。このように順手で把持することにより、患者正面からのデジタル印象採得を行いやすくする。図2-20 現在のデンツプライシロナ社製IOS(CEREC Primescan)。タービンと同様のペングリップにて把持されている。ペングリップは日常臨床で慣れているため臨床家が受け入れやすいと思われる。患者の側方、もしくは正面からのデジタル印象採得が行いやすい。図2-22 このように逆手でIOSを把持することにより、12時の位置からのデジタル印象採得を行いやすくする。IOSの持ちかた各種
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