長期症例に学ぶパーシャルデンチャー
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図9 中川の歯式を用いた症例分析で考慮する5項目。図8a、b 図6の症例(a)を中川の歯式で表すとbのようになる。咬合支持をしている臼歯を赤字で示している。abb)咬合支持の歯数と部位 咬合支持をしている臼歯のみをカウントする。咬合支持数は最大で8、最小で0であるが、当然この数が多いほど良好な予後が期待できる。0の場合はアイヒナー分類でクラスB4に分類され、良好な予後は難しい。 なお、予後が安定するための咬合支持数は個々の症例により条件がさまざまである。咬合力、ブラキシズムの有無、片咀嚼の癖、生活様式(不規則な生活、介護をしている等)、ストレスの多寡等、義歯および残存歯にかかる力のあり方は症例の条件によって違いが大きく、咬合支持数のみで一律に予後を判定56■ 中川の歯式(図6と同一症例)■ 中川の歯式を用いた症例分析で考慮する5項目2)中川の歯式とは 残存歯を歯式で表して、咬合支持している臼歯のみを赤字で記す。これが中川の歯式による症例分析である。図6の症例を中川の歯式で表すと図8bのようになる。この歯式を一瞥してみると直感的にさまざまなことがわかる。・どの部位でどれだけの歯数が咬合支持をしているか・中間欠損か遊離端欠損か(ケネディの分類)・受圧要素と加圧要素の関係・残存歯の対向関係(どの歯にどのような力がかかるか)・アンテリアガイダンスを担う歯がどれだけ存在しているか・欠損部に義歯を装着した場合、どの歯(鉤歯)に力が集中するか(補綴後、支台歯にかかる力のリスク) そこで、歯式を書いたうえで以下の5項目に従って分析し、診断する(診断後、「中川の欠損補綴分類」に沿って補綴設計を行う)。3)中川の歯式を用いた症例分析a.中川の歯式を用いた症例分析で考慮する5項目(図9)a)欠損部位と受圧-加圧要素の関係 遊離端欠損か中間欠損か、複合欠損か、欠損部の対合歯は連続して存在するか欠損を有するかで受圧-加圧要素も直感的に判断できる。長期症例に学ぶパーシャルデンチャー

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